湘南キャンパス体操競技部の小河原慶太部長(体育学部教授)と植村隆志副部長(同准教授)、小西康仁男子監督(スポーツプロモーションセンター講師)らがこのほど、「DEI体操研究会」を立ち上げました。「Diversity(多様性)」「Equity(公平性)」「Inclusion(包括性)」の頭文字を取って名付けられた同研究会は、「すべての人が体操競技の素晴らしさを享受できる世の中をつくりたい」という小河原部長らの思いで設立。昨年12月21日にはオンラインで、「第1回DEI体操研究会講演会」を行いました。
約40名が参加した当日は初めに、同研究会会長を務める小河原部長が登壇。体操競技の現状を語り、「2024年のパリ五輪では、日本代表の男子団体チームが金メダルに輝くなど注目を集めましたが、パラリンピックでは体操競技が開催されていません。国内では知的?発達に障がいがある子どもが体操を経験できる環境が少なく、活動の場所が必要だと考えます。また、幼少期から体操競技に触れていても、けがなどを理由に中学や高校、大学と競技を続ける人が少なくなっていきます」と課題を指摘しました。近年、国内でも盛り上がりを見せるマスターズ大会にも触れ、「体操競技のルールや器械、器具を工夫して、障がいの有無や年齢を問わず全ての人が楽しめる競技に再構築する必要があります。DEI研究会では、その一助になれるよう活動していきたい」と話しました。
続いて、同研究会顧問を務める本学キャンパスライフセンター(CLC)インクルージョン推進室の内田匡輔室長(CLC所長?体育学部教授)が、「障がい者を取り巻くスポーツ環境~日本のパラスポーツ協会やSOの取り組み~」と題して講演。特別支援教育における体育授業やパラスポーツの歴史を解説し、「“実技は危険だからレポートに代替する”など、障がい者にとって体育やスポーツには不当な差別をつくり出す内容を多く含んでいます。どのような授業なら参加できるか、授業の形成過程で障がいのある生徒の意見を組み込み、授業を通して生徒が成長できるように我々指導者が考える必要がある」と語りました。また、知的障がいのある人たちにさまざまなスポーツトレーニングと競技会の場を提供する国際的なスポーツ組織「スペシャルオリンピックス」も紹介しました。
さらに同研究会理事の小西監督が、「平塚体操みらい塾」(主催=平塚市体操協会)による活動の一環として、昨年3月から湘南キャンパス体操体育館で実施している「知的?発達障がい児のための体操教室」について報告。体操競技部の選手らも指導に当たり、参加者の年齢や障がいのレベルに合わせて行っている運動の内容を紹介しました。「実際の体操器具にも触れてもらうなど、運動遊びの内容を少しずつ発展させ、体操競技を体感してもらおうと取り組んでいます。最終的には、スペシャルオリンピックスの競技会での成果につながるのではないでしょうか」と話しました。最後に小河原部長があいさつし、「来年度以降は講演会を年に2回ほど開き、体操の指導に携わる方などに講演いただき、皆さんの情報共有の場にしたいと考えています。今後もぜひ参加してください」と呼びかけました。