秦野市内の屋外彫刻をメンテナンスする「彫刻を触る★体験ツアーin秦野」を実施しました

課程資格教育センターでは3月14日に小田急線?秦野駅前のまほろば大橋で、屋外彫刻メンテナンスイベント「彫刻を触る★体験ツアーin秦野」(主催=秦野市、共催=本センター)を実施しました。本センターでは、学芸員を目指す学生が実際に彫刻に触れながら、屋外彫刻のメンテナンス方法を学ぶ機会を設けようと2014年度から湘南キャンパス内にあるブロンズ像のメンテナンス活動を開始しており、近年では地域貢献活動として秦野市や藤沢市、東京都北区などでもメンテナンスを行っています。今回の取り組みもその活動の一環として実施したもので、秦野市内の市民団体「彫刻愛し隊」のメンバーや市民、学生ら約20名が参加しました。

開始前には、大橋に設置されている?生命の詩?の作者西巻一彦氏と?COSMIC RING?の作者横山徹氏が講義。作品に込めた思いや素材の特性、地域に根差した「文化力」の重要性などを解説しました。その後、参加者が2グループに分かれて作業を開始。本センターの篠原聰准教授と高嶋直人氏(野外彫刻調査保存研究会)、野城今日子氏(東京文化財研究所)の指導を受けながら、中性洗剤と高圧洗浄機を使って洗浄しました。交通量の多い道路近くに設置されていることもあり、清掃前には汚れやコケが付着し、作品の細かい部分が判別しづらくなっていた作品も、終了時には意匠がハッキリと見て取れるほどにきれいに。参加者からは、「わずか2時間ほどの作業でここまできれいになるとは思わなかった。作品が持つ雰囲気がはっきりと見て取れるようになった」「市内には西巻氏や横山氏が手掛けた作品が他にもある。こうした作品もきれいにしたい」といった声が聞かれました。

企画運営を担当した篠原准教授は、「この取り組みは、秦野市の全面的な協力と市民の方々の熱意によって実現できたもので、協力してくれた方々に心から感謝しています。屋外彫刻は全国各地に設置されている一方、そのメンテナンスはほとんど行われていないのが現状です。こうした彫刻を『市民の宝』として活用する道を切り拓くためにも、秦野市や近隣の自治体と連携した活動を継続し、小学生や高校生からお年寄りまでが参加できる形を模索していきたい。また、このプログラムに参加した後に学芸員や専門家として活躍している卒業生も出てきています。彼らを通して、彫刻メンテナンスの輪が広がっていくことも期待しています」と話しています。