湘南キャンパスで6月26日に、平和戦略国際研究所の上月豊久所長(国際学部教授)による特別セミナー「ロシアの内外情勢とウクライナ侵略」(主催:平和戦略国際研究所、共催:政治経済学部政治学科、国際学部国際学科)を開催しました。両学科の学生と教員ら約100名が参加しました。上月所長は外務省入省後、欧州局長、官房長を経て2015年から23年までロシアに特命全権大使として駐在。2024年度から本学に着任しました。
国際政治、外交論が専門の上月所長は、1997年の在ロシア大使館一等書記官着任以来、参事官や公使として勤務し、ロシア在任は通算で17年にのぼりました。日ロ平和条約交渉にも最前線で携わり、外務省屈指のロシア通として知られています。今回の特別セミナーでは対ロ外交の経験をもとに、2000年のプーチン大統領就任以降のロシアにおける内政、経済、外交の変化を概観。プーチン大統領が目指す政治について、「内政は内向き?排外主義になり、経済はより自立的に高成長でありながらも、中長期的には労働力不足やインフラ投資の不足などが将来に深刻な問題となる」と指摘しました。ウクライナ侵略の現状と今度の課題について、エスカレーションのリスクや、クリミア半島の状況がレッドラインとなる核兵器の使用可能性についても言及。さらに、この戦争がプーチン大統領の目指す「西側から干渉されない大国の建設」を加速させ、ヨーロッパにおけるNATO加盟国の拡大や日本を含む各国の防衛費増大など、世界的に戦略環境が悪化している点を解説しました。
最後に、この3月に再選されたプーチン大統領の内閣改造に触れ、注目すべきキーマンの名を挙げながら説明。終了後は会場の学生から「ロシア国民から見たプーチン大統領とは」「17年にわたるロシアとの関わりの中で最もロシアの変化を感じた時代は?」「プーチン大統領の北朝鮮訪問の意味とは」など多様な質問が挙がり、上月所長は一つひとつ丁寧に答えました。