大学院工学研究科建築土木工学専攻の野口直人講師の研究室に所属する庭山隼輔さん(2年次生)と新島朝也さん(1年次生)が昨年11月23、24日に、金沢学生のまち市民交流館で開催された「歴史的空間再編コンペティション」で準グランプリを受賞。また、佐々木優さん(2年次生)、吉松佳亮さん(同)、長瀬ルナさん(工学部建築学科2022年度卒?日本女子大学大学院在籍)のグループは、同コンペの企画?運営を担う学生団体「SNOU」のメンバーによる投票で最優秀SNOU賞に選ばれました。
庭山さんと新島さんの作品「祭りの顔が潜む停留所―ハレとケが作り出す東西の結節点―」は、神奈川県横須賀市浦賀の東西で同日に行われている祭りに着目。浦賀港を挟んで向かい合う東浦賀と西浦賀の渡し船の停留所にシンクロする建築を設け、かつては一緒に行われていた祭りを通じた一体感を生み出そうと考えました。波打つ屋根はステージとして活用でき、神輿が練り歩くほか、屋根の一部を山車と同じ高さに設定し、祭りを上から楽しむ案も盛り込みました。また、真ん中に設けたやぐらは東西のシンボルとし、平常時にも人々の集う場となるように館内には児童館や展示室、市場などを設ける計画です。2名は、「現地を訪れ、地元の人に話を聞き、じっくり調べて形にしていく工程は、課題に取り組む学部生時代とは異なる刺激的な時間でした」と話しています。
一方、佐々木さん、吉松さん、長瀬さんの作品「今日は雨だから洗濯物を干そう」は、豊富な地熱?温泉資源に恵まれた熊本県阿蘇郡小国町のわいた地区をフィールドに計画。昔からこの地で暮らす人々は、家の外に蒸気窯を設けて料理をし、洗濯物の乾燥や暖房機器にも水蒸気を活用していますが、移住者の中には危険だからと蒸気窯をふさいでしまう家庭もあるといいます。「このままだと使われなくなってしまう資源を、時代に合った形に変えられないか」と考えた3名は、水蒸気を活用したランドリーや乾燥室、アイロン室などを設け、町全体を「洗濯屋」とする計画を提案。佐々木さんと吉松さんは、「水蒸気を無駄なく使えるよう動線を意識しました。長瀬さんは学部生時代に野口講師の研究室でともに学んでいましたが、別の大学院で学ぶ中でそれぞれ違った視点を持つようになり、意見を出し合って形にできました」と話していました。