
大学院工学研究科応用理化学専攻の若杉圭一郎教授の研究室に所属する2名の学生が、昨年9月11日から13日まで東北大学で開催された「日本原子力学会 2024秋の大会」に参加。木賊尋也さん(修士課程2年次生)が一般セッションで「学生優秀発表賞」を、窪川嵩之さん(同)が学生ポスターセッションで「優秀賞」をそれぞれ受賞しました。
木賊さんの研究テーマは「ニューラルネットワークを用いた地層処分の断層シナリオに対する不確実性解析」です。原子力発電所で使い終えた燃料から発生する高レベル放射性廃棄物は地下300mより深くに埋設する「地層処分」が行われますが、その安全性には数百万年単位の長期評価が求められます。特に地震の多い日本では、地震により断層が発生した場合の影響を把握しておくことが重要です。木賊さんは、2km四方の処分場に4万体の廃棄体が処分されると仮定し、機械学習による「ニューラルネットワーク」を用いて断層の規模や発生場所の不確実性を考慮した解析を実施。これにより地層処分の安全性を評価しました。
窪川さんの研究テーマは「セメント溶脱水による緩衝材の変質に関する解析的検討」です。地層処分では、地下深部にトンネルを掘り、その中にガラス固化体、オーバーパック(金属製の容器)、緩衝材から構成される人工バリアを設置します。この際、作業の安全性を確保するためにトンネル周辺の岩盤はセメントで補強されますが、地下水に溶けたセメントが緩衝材を変質させ悪影響を与える可能性が懸念されています。窪川さんは、このセメント溶脱水による緩衝材の変質について解析し、その成果をまとめました。
2人は工学部原子力工学科での授業で放射性廃棄物の処理?処分について学び、4年次生からそれぞれの研究に取り組んできました。木賊さんは、「福島県出身で、将来は原子力発電所の廃炉に携わりたいと思い進学しました。3年間の研究成果が評価され、とてもうれしいです」とコメント。窪川さんは、「思ったような成果が出ず、ゼミの仲間が学会などで賞を取るたびに焦りや不安もありましたが、最後に結果を残せてよかった。ゼミでのディスカッションなどを通して発表スキルも身に付きました」と話しました。指導した若杉教授は、「木賊さんのニューラルネットワークを用いた安全評価は、極めてユニークな研究成果です。窪川さんも昨年の夏季休暇中に北海道幌延町にある国立研究所で実習するなど、本当に熱心に取り組んでくれました。2人とも何か特別なことをしたわけでもなく、日々ひたむきに努力を重ねた結果得られた賞です。『努力に勝る天才なし』2人はまさにそれを体現してくれました」とたたえました。