情報通信学研究科の大学院生が国際会議 ISITA 2024で発表しました

2024年11月10日~13日に国立台湾科技大学(National Taiwan University of Science and Technology)で開催された The International Symposium on Information Theory and Its Applications (ISITA) 2024 にて、大学院 情報通信学研究科 大東俊博教授の研究室に所属する小菅大輔さん(1年次生)と 北山武輝さん(同)がそれぞれ研究発表を行いました。

– Daisuke Kosuge, Hayato Watanabe, Taiga Manabe, Yoshihisa Takayama, Toshihiro Ohigashi, “Adversarial Examples with Missing Perturbation Using Laser Irradiation,”
Proc. the International Symposium on Information Theory and Its Applications (ISITA) 2024, Taipei, Taiwan, pp.212-216, Nov. 10-13, 2024.

– Takeki Kitayama, Yuma Nishihira, Akira Kanaoka, Yoshio Kakizaki, Toshihiro Ohigashi, “Development of an Outsourcing Password Evaluation System using Intel SGX,”
Proc. the International Symposium on Information Theory and Its Applications (ISITA) 2024, Taipei, Taiwan, pp.407-412, Nov. 10-13, 2024.

小菅さんの研究は、AIによる画像識別の脆弱性に関する研究で、事前に作成しておいた微量のノイズを加えた画像に対して不可視のレーザを照射することで別の画像と誤認識してしまうことを実証しています。従来からノイズ(摂動)を付加する方法やレーザ照射による方法は知られていましたが、それらを効果的に併用する方法を考案したところが小菅さんたちの大きな成果です。この研究は「情報セキュリティ分野」に強い大東研究室と「レーザなど空間光通信などが専門」の高山佳久教授(本学 情報通信学研究科)の研究室と合同で実施された他分野が融合して実現した研究と言えます。

小菅さんの発表風景
北山さんの発表風景

北山さんの研究では、Intel社のCPU内に備えられたIntel SGXと呼ばれるセキュリティ機能を用いて、安全かつ高速にパスワードの安全性を評価できる実用的なシステムを開発しています。従来の公開鍵暗号ベースの方法では処理時間に難があったものを、ハードウェアのセキュリティ機能を利用することでシンプルな共通鍵暗号技術をベースにパスワードの安全性の評価が可能となりました。このシステムは特に過去に漏えいしたパスワード(やそれに似たパスワード)を利用するリスト攻撃への安全性を示すことができます。なお、本研究は大東研究室および柿崎淑郎准教授(本学 情報通信学研究科)、東邦大学理学部の金岡晃教授との共同研究として取り組まれました。

大学院の指導教員である大東教授は、「小菅君も北山君もISITA 2024の発表が国際学会デビューでした。二人とも自信を持って力強く発表してくれていましたし、質疑応答でも上手く伝わらない場合でもへこたれずに何とか答えようとする努力が伺えました。前向きに取り組んでいる姿勢は今後の彼らの成長につながると思いますので期待していきたいです」と語りました。

発表者の小菅さんと北山さんは、以下のように発表の感想と抱負を語っています。
小菅さん
「今回、初めての国際学会発表という貴重な機会をいただき、緊張しつつも非常に充実した経験を得ることができました。この学びを今後の研究に活かし、さらなる成果を目指してまいります」
北山さん
「国際会議での初めての発表は非常に刺激的で、貴重な経験となりました。準備段階では、研究内容を英語で分かりやすく伝えるための工夫が必要なため難しく感じることがありました。発表当日は、自分の英語が聴衆に伝わるか心配でしたが,無事に発表ができてほっとしました。今後もこの経験を生かして研究に取り組んでいきたいと思います」

ISITA 2024の会場前(左から)大東教授、小菅さん、北山さん