海洋生物学科が公開シンポジウム「ちょっと聞けない 海洋生物のはなし」を開催しました

海洋学部海洋生物学科が3月16日に静岡市葵区のもくせい会館で「ちょっと聞けない 海洋生物のはなし」をテーマに公開シンポジウムを開催しました。地域の方々に身近な海に生息する海洋生物に関する知識を深めていただき、その保全や共存の道を探る契機となることを目的に企画したものです。

当日は海洋生物学科の教員5名がそれぞれの専門分野や研究成果を紹介し、小学生から一般の方まで約30名が来場しました。
はじめに、田中克彦教授が「ウミクワガタ」について講演しました。ウミクワガタは昆虫ではなくエビやカニと同じ甲殻類であることや、実際に見つかることは非常に稀で、ほとんどの種類はオスしか知られていないなど秘密が多い生物であることが説明されました。
続いて、山崎剛准教授が海中の細菌のエネルギー消費について講演しました。これまで山崎准教授が異なる海域で採取した細菌のそれぞれの特徴などについて説明し、菌によって分解できる糖類が違うことについて話しました。
小松真治准教授は海洋生物から電気エネルギーを作る研究について紹介し、太陽光の有効利用について来場者に投げかけながら、太陽エネルギーと海洋生物が持つ色素によって発電が可能であることや、人々の生活に身近な食べ物であるワカメの色素に発電エネルギーが存在することを解説しました。

廣瀬慎美子准教授はサンゴについて講演。はじめにサンゴとサンゴ礁の違いについて触れ、サンゴの種類やサンゴが苦手とする環境や白化現象のメカニズムついて解説。学生とともに発見した研究成果ついても報告されました。
最後に村山司教授がイルカの知能について、これまでの研究活動とその成果について講演しました。実際に水族館で行われた実験の様子の映像を用いて解説し、イルカの自己認知には個体差があることや、なぜイルカは人の行動を真似することができるかなどについて話しました。

来場者からは、「海洋生物学にはさまざまな分野があり、勉強になった」、「普段の生活では思いつかないような研究の話が聞けて良かった」「小学生でも興味を持てる内容だった」、「海洋生物はまだまだ奥深い」といった感想が聞かれました。

〔講演テーマ〕
「ウミクワガタの秘密」田中克彦教授
「海の細菌は甘いものが好き?」山崎剛准教授
「海洋生物の『色』に光を当てて電気は起こせるか?」小松真治准教授
「サンゴは暑さにも寒さにも弱い」廣瀬慎美子准教授
「知的な海獣たち」村山司教授