総合科学技術研究所が電気学会の「光応用?視覚研究会」招待講演を共催しました

総合科学技術研究所が12月18日、湘南キャンパスにおいて、一般社団法人電気学会の「光応用?視覚研究会」の招待講演を共催しました。同研究会は「光応用一般」をテーマに研究発表が行われ、同学会に所属する研究員や大学院生ら約20名が参加しました。

当日は、同研究会の堀内敏行委員長(東京電機大学教授)が開会の挨拶を述べ、草場光博先生(大阪産業大学教授)が座長を務める2部構成(招待講演?一般講演)で進められました。招待講演では、総科研の坂上仁志研究員(核融合科学研究所名誉教授)が「ナノ構造形成を解析するための3次元電磁粒子シミュレーション」と題して講演しました。レーザー照射された固体材料表面には、極微細な周期構造(ナノメートルの大きさの構造)が形成されます。その大きさはレーザー波長の1/25程度と極めて小さく、レーザーはその大きさを感じませんが、何故か固体材料表面に形成されます。今日まで多くの物理学者がモデル化を試みてきましたが、解明されていません。その大きさは、「どこまで小さくなるのか?」や「2次元のナノ構造はできるのか?」など素朴な疑問に答えることができませんでした。坂上先生のシミュレーションコードによりレーザー照射された固体表面の動的振る舞いが可視化され形成メカニズムが紐解かれようとしています。実験では、ピラミッド構造を有する固体材料にレーザーを照射することで2次元のナノ構造が形成されており、シミュレーションもその2次元ナノ構造の可視化に成功しています。講演では進展著しいナノ構造のシミュレーション結果を紹介しています。シミュレーションの成果は、坂上研究員が2011年から取り組んできたもので、文部科学省の光?量子飛躍フラッグシッププログラム(Q-LEAP)基礎基盤研究「先端ビームによる微細構造物形成過程解明のためのオペランド計測」(2018年~2027年)の研究を加速し、ナノ構造形成メカニズム解明とナノ構造の産業応用に重要な指針を与え3件のプレスリリース(記事末尾参照)につながっています。総科研では、Q-LEAPについて京都大学、大阪大学、量子科学技術研究開発機構と協働して同研究を進めており、今回は研究の進捗状況や成果について講演していただきました。

続いて行われた一般講演では、本学大学院工学研究科の大学院生らも登壇し、日ごろの研究活動について成果を報告。また、19号館アカデミックラウンジで開催された研究交流会では、理学部物理学科の山口滋教授が開会にあたって挨拶し、所属する大学や世代を超えて最新の情報を交換するなど交流を深め、総科研所長の岩森暁教授(工学部機械工学科)の閉会の辞により盛況裡に終えました。

当日の講演スケジュールは以下の通りです。※敬称略

【招待講演】   
「ナノ構造形成を解析するための3次元電磁粒子シミュレーション」
坂上仁志(核融合科学研究所/bet36体育投注_bet36体育官网app-在线*开户総合科学技術研究所)

【一般講演】(座長:草場光博/大阪産業大学)
「シリコン太陽電池表面に形成されるナノドット構造のレーザ照射条件の比較」
◎小倉遼太郎、野口幸義、岩森暁、坂上仁志、橋田昌樹(bet36体育投注_bet36体育官网app-在线*开户)、草場光博(大阪産業大学)

「フェムト秒レーザ誘起ナノドット構造形成シリコン太陽電池の大腸菌に対するフィルム密着法」
◎本多洋輝、片倉惇朗、岡崎未来瑠、岩森暁、橋田昌樹(bet36体育投注_bet36体育官网app-在线*开户)

「ナノドット構造形成されたチタンサファイア表面の反射率」
◎西本崇泰、杉野秀斗、岩森暁、橋田昌樹(bet36体育投注_bet36体育官网app-在线*开户)、草場光博(大阪産業大学)、宮坂泰弘(量子科学技術研究開発機構)

「フェムトレーザ照射によるチタン表面の極微細周期構造形成」
◎白鳥碧士、佐藤丈、橋田昌樹、岩森暁(bet36体育投注_bet36体育官网app-在线*开户)

「反射率の異なる同一波長のファイバブラッググレーティングのピーク波長測定の基礎検討」
◎村田亜優、山口達也、篠田之孝(日本大学)

Q-LEAP:https://www.jst.go.jp/stpp/q-leap/
関連プレスリリース
https://www.tokai.ac.jp/news/detail/20_nm.html
https://www.tokai.ac.jp/news/detail/post_432.html
/news-campus/329379/