建築都市学部建築学科の高橋達教授がこのほど、「2023年日本建築学会教育賞(教育貢献)」を受賞し、4月19日に同学会から発表されました。同賞は長年の教育活動を対象とした「教育業績」と、教育プログラムや教材を対象とした「教育貢献」の2部門で公募されるもの。髙橋教授は2003年から全国各地の学校や役場、住民の協力を得て取り組んできた「冷暖房?給湯における環境配慮型ライフスタイル普及のための教育プログラムの開発」で同会地球環境委員会から推薦されました。07年に設けられた同賞を本学の教員が受賞するのは初めてです。なお、表彰式は5月30日に予定されています。
環境配慮型の建築が専門の高橋教授は、「すだれをかけて日除けにする、外気温30℃以下の場合は窓を2カ所空けて空気の通り道をつくると涼しくなるといった知識はあっても、家に帰ると無意識にエアコンをつけてしまう人も多いと考え教育プログラムの開発に取り組みました。一方的に座学で教えるのではなく、涼しくて快適、理論が分かって面白いなどと感じる体験の場をつくることで理解を深めてもらう狙いです」と語ります。2003年から福岡県や長野県で小中学生や町役場の職員らを対象にペットボトルを使った模型実験による断熱?遮熱の教育プログラムを実施してきたほか、東京都杉並区の集合住宅にグリーンカーテンを設置し、3年間にわたって温熱環境を計測してアドバイスをしながら、通風や換気、日射遮蔽といった「涼房」実現のための住まい方支援プログラムを展開。本学のキャンパスがある神奈川県秦野市や伊勢原市では、団地に住む高齢者らに向けて、エアコンと扇風機を併用することで関節痛などの持病に影響が出ない熱中症予防に関する体験学習プログラムも展開しています。ほかにも、熊本県の中学校で断熱性能の有無によって建物の室内熱環境がどれほど異なるかを体験?測定して自作のサーモグラフィを作成するプログラムを実施したり、湘南キャンパスでは太陽熱でペットボトルの水を温める自作太陽熱温水器の実験を行ったりと、多彩な企画を展開してきました。
20年にわたる活動が評価された高橋教授は、「研究室の知見を地域に還元したいと、学生に協力してもらいながらさまざまなプログラムを行ってきました。実際に体験してもらえば日々の生活で実践に移す人が多いと分かってきたので、今後は例えば熱中症予防のプログラムではより多くの人に体験してもらい、人々がどのようなプロセスで実践行動に移すのかを把握したいと考えています。また、地域の健康促進に貢献している他学科の先生方ともチームを組んで住環境からの福祉レベル向上について地域貢献のロールモデルをつくりたい」と話しています。