建築家?伊東豊雄氏によるセミナー「建築って何だろう」を開催しました

建築都市学部では6月17日に湘南キャンパス2号館大ホールとオンラインで、建築都市学部オープニングセミナー「建築って何だろう」を開催しました。「Linkage 人?建築?都市を○○でつなぐ」を共通テーマに、本学部開設前年の2021年度から9回シリーズで実施しています。最終回となる今回は、日本建築学会賞を2度受賞し、建築界のノーベル賞ともいわれる「プリツカー賞」にも輝いた世界的に活躍する建築家の伊東豊雄氏が登壇。対面とオンラインで学生や教員、建築?都市の関わる実務者、技術者ら約1500名が参加をしました。
初めに岩﨑克也学部長が本学部の開設から1年の歩みを紹介。続いて伊東氏が登壇し、日本の建物の変遷を説明するとともに、幾何学を用いた建築文化が生まれ、定住と農耕が始まり、資本主義が発達して都市が発生していったことなどを解説しました。

東京都?渋谷駅前の開業当初と現在の高層ビル群の写真を提示し、若者の文化でにぎわっていた町がオフィス街に変化していると指摘。床、天井、壁と最小限の柱で構成される「ユニバーサルスペースは均質化と管理主義を推進する」として、「均質なスペースは使いやすい反面、自然から離され、南向きでも北向きでも、2階でも50階でも、夏は涼しく冬は暖かい人工環境をつくらざるを得ません。安心安全に人が住まう環境を整えるために管理主義が過剰に発達するのが問題ではないか」と語りました。その後は、東日本大震災の復興のために建てた宮城県の「みんなの家」や岐阜県の複合文化施設「みんなの森 ぎふメディアコスモス」、シンガポールの「南洋理工大学 ビジネススクール棟」、台湾の「台中国家歌劇院」といった自身が手がけた建築についても解説しました。

第2部では岩﨑学部長と対談し、学生たちの質問にも回答。最後に学生に向けて、「若いころに菊竹清訓さんのオフィスで一番学んだのは、頭ではなく体で考えるということ。今でも若いスタッフには“心の底から好きだと言えるか?”と問いかけています。体で感じることを大切にしてほしい」とアドバイスを送りました。聴講した建築都市学部の2年次生は、「自分の考えを形にするのではなく、多くの人に伝わるように表現を抽象化すること大切という話が印象に残りました。芸術家とは異なり、建築家は人が生活する、使うものを作るのだと改めて感じました。今後の学びに生かしていきたい」と話していました。