建築都市学部では1月27日に湘南キャンパスで、課題解決型研究コンペティション「建築都市学部版 ものづくり学生サミット2023 in 湘南」の表彰式を実施しました。このコンペは、企業から出題される実務や将来に向けた課題などに対して、学生の自由な発想や柔軟な思考、日々の学習成果を生かして、実践的で実効性のある解決策を提案するものです。14年度から工学部の活動として始まり、コロナ禍での中止を経て昨年度に本学部が新設されたことを受けて再開。参加した約80名の学生は2~6名のグループに分かれ、アドバイザー教員や各企業の担当者と意見交換をしながら企画案をまとめました。昨年12月の最終報告会で行ったプレゼンテーションを踏まえて、各企業のテーマごとに結果が発表されました。
表彰式では初めに、建築学科の渡部憲学科長があいさつ。全員に修了証を手渡した後、4つの企業から受賞グループが発表され、賞状と記念品が贈られました。サンアルミ建材株式会社テーマ「アルミのおもしろ?お役立ちグッズ」では、「アルミのカーテン」を提案したチーム名「HandM」が最優秀賞に選ばれ、自然災害などで窓ガラスが割れた際でも室内への侵入を防げるアルミ素材のカーテンを考案しました。嶋崎悠さん(建築都市学部2年次生)は、「昨年度も参加しましたが、最優秀賞には届かなかったので今回こそはと挑戦しました。前例のないグッズのアイデアを生み出そうと試行錯誤したので受賞できてうれしい」と語りました。
株式会社東栄住宅の「自分の住みたい家 ~子供が育つ家?子育てしやすい家~」では、チーム名「うさぎさんチーム」による「子どもと育つ家」が最優秀賞を受賞。近隣住民同士の交流が希薄になっていることを受け、家から突き出すように子ども部屋を設けることで外と中の境界を緩め、子どもの趣味や成長過程が見えるような家を提案しました。池田伶奈さん(工学部3年次生)は、「所属する建築学科とも特に密接な“住宅”を設計したいと参加しました。建設する場所から自分たちで決めて、実際に現地に足を運んで住宅のイメージを固めていったので、非常に勉強になりました」と振り返りました。
ユーミーらいふグループの「地域を繋ぐコミュニティ屋台 ~活気あるまち、楽しいまちづくり~」のテーマでは、「地域協力!子どもと野菜を育てる屋台」を提案したチーム名「M.S.S」が最優秀賞を獲得。齋藤拓海さん(工学部4年次生)は、「“活気あるまち”をイメージしたときに子どもの存在が思い浮かびました。次世代の成り手を求める大工や農家の方たちにも協力いただきながら子どもが屋台の制作から手掛け、屋台で野菜を栽培し料理するという、ものづくりや食べ物のありがたみを学べる案を考えました」と話しました。
独立行政法人都市再生機構のテーマ「団地の空き施設を活用した地域活性化」では、チーム名「3-A」による「植物と共に成長する下大槻団地」が最優秀賞に選ばれました。植物の栽培をはじめ、フリーマーケットや読み聞かせ、住民による裁縫教室に映画鑑賞などさまざまな活動ができるフリースペースを提案。古越佑奈さん(建築都市学部1年次生)は、「子どもから高齢者までさまざまな住民がいる団地の特性を生かしながら、住民の手が作り上げていくスペースになればと考案しました。今回得た経験を次年度以降の学外活動につなげていきたい」と意気込みました。
企業担当者からは、「どのような人がその住宅を利用するかなど、自分たちで詳細を設定して完成度の高い作品を作り上げてくれました」「各グループとアイデアをすり合わせていく中で、皆さんの考え方をはじめ、新たに勉強になったことがたくさんありました」といった講評も聞かれました。表彰式後には懇談会も行い、今年度建築都市学部に着任し、アドバイザー教員として学生をサポートした須沢栞講師があいさつ。「学生がそれぞれ楽しみながら参加している様子が見られました。学生のうちに企業の方と話せる貴重な機会になったと思うので、今回の経験を糧に今後の学業に励んでもらいたい」と締めくくりました。