木材利用推進コンクールで建築学科の杉本洋文元教授らによる松田町立松田小学校が文部科学大臣賞を受賞しました

建築家で工学部建築学科(現?建築都市学部建築学科)の杉本洋文元教授(株式会社計画?環境建築代表取締役会長)が総合監修?設計を手掛けた「松田町立松田小学校」の校舎が、bet36体育投注_bet36体育官网app-在线*开户6年度木材利用推進コンクール(主催=木材利用推進中央協議会)で文部科学大臣賞に選出されました。木材利用のいっそうの促進を目的に1993年から開かれており、特色のある木造施設等を対象とする「優良施設部門」と、国産材利用に積極的に取組む企業を対象とする「国産材利用推進部門」の2部門で構成。優良な作品の関係者や木材利用に励む企業が表彰されています。今回は、優良施設部門で特賞14点、優秀賞43点、国産材利用推進部門で受賞企業として特賞6点が選出されました。

優良施設部門の特賞の一つである文部科学大臣賞に選ばれた松田小学校は、設計時点で国内3例目、完成時点で国内4例目となる木造3階建ての校舎で、中央部分にRCコア棟をはさみ両側に木造校舎を配置することで延焼防止を実現するなど防災に配慮した建物となっています。町内にある学校林から伐採されたヒノキ材30?を教室のフローリング材など内装に活用。昇降口前の大ひさしなど適所に木材を使用し、木造による3階建て学校の標準型として全国への普及が期待される点などが評価されました。

2004年度から19年度まで工学部建築学科で教鞭を執った杉本元教授は、本学科卒業以来、建築家として活躍。計画?環境建築の代表取締役社長、同会長を務め、博覧会などの会場計画を手掛けたほか、公共施設や住宅などで木造建築を中心に作品を発表し、グッドデザイン賞など数々の作品賞を受賞してきました。2011年に発生した東日本大震災では、復興まちづくりのためにはコミュニティの再生が重要との観点から、本学のチャレンジプロジェクト「3.11生活復興支援プロジェクト」にアドバイザーとして携わり、被災した岩手県大船渡市や宮城県石巻市への木造の応急公民館建設などを先頭に立って指揮。その後も長年にわたって被災地と共に歩むなど地方創生の分野でも手腕を発揮してきました。

杉本元教授

今回の松田小学校建設に当たっては、杉本元教授のほか計画?環境建築、共同で設計にあたった株式会社類設計室、施工を担当した前田建設工業株式会社に所属する多数の本学科卒業生が基本設計や基本構想、構造設計、機械設備設計、施工図などを担当しました。杉本元教授は、「私の研究室で学び、各社で活躍する教え子たちと受賞できてうれしく感じています。少子化によって学校の統廃合が進み、高度経済成長期に鉄筋コンクリートで建てられた学校の多くが建て替えの時期を迎えている今、これまで培ってきた木造建築のノウハウを生かして、地元産間伐材の活用や低コストによる建築の全国的なモデルケースとなる学校を建てることができました。軽くて強い木造建築のメリットを生かし、教室の配置など新しい教育のあり方への対応も図っています。また、建設中には実際にこの小学校に通う子どもたちに木材を使った内装を作るワークショップを開き、学校としての個性を出すと同時に木材になじみ、愛着をもってもらうなどした試みも評価いただきました」と話します。また、計画?環境建築のスタッフで、実施設計と監理を担当した桜井寛さん(建築学科2012年度卒)は、「耐火、遮音、断熱などでは専門家の知見を生かし、現場でのチェックを重ねてきました。受賞にあたっては、担当した標準化モデルの小学校を認めていただきうれしく感じています」と話していました。

なお、同コンクールでは、工学部建築学科(現?建築都市学部建築学科)卒業生で、在学中は杉本教授の研究室に所属していた建築家の森屋隆洋さん(MORIYA AND PARTNERS)が設計を手掛けた、北海道知内町にある知内温泉のサウナ施設「呼吸の間」も優良施設部門で優秀賞に選出されました。

「松田小学校」写真=淺川敏