「2024年日本建築学会作品選集新人賞」を受賞した佐瀬和穂氏による講演会を開催しました

建築都市学部建築学科では11月27日に湘南キャンパスで、建築家?佐瀬和穂氏(大学院工学研究科建築学専攻2007年度修了?佐瀬和穂建築設計事務所)による講演会を開催しました。1年次生の授業「入門ゼミナールB」で実施している卒業生のリレー講座第2回として開いたものです。「ニセカイジュウタク」で「2024年日本建築学会作品選集新人賞」を受賞した佐瀬氏が講師を担当し、自身が手がけた作品への思いなどを語りました。

初めに、大学院時代の先輩にあたる本学科の十亀昭人教授が佐瀬氏の経歴を紹介。続いて登壇した佐瀬氏は、横井創馬氏(横井創馬建築設計事務所)、大沢美幸氏(みゆき建築計画設計部)とともに新人賞を受賞した「ニセカイジュウタク」について解説しました。「現代の二世帯住宅のすがた」をコンセプトとした作品は、「各部屋のドアを閉めることで空間を分け、その時々にあった形に変化させていく住宅です。玄関が2つあり、部屋の中をぐるぐると動線を巡らせているので、他の部屋や空間を感じながら暮らすつくりになっています」と説明。暗い空間になりがちな北側の部屋は半地下にして床暖房を入れ、天窓から光を取り入れるといった工夫や、パーゴラによるセキュリティー面への考慮についても語りました。その他にも、これまで手掛けてきた製薬会社新本社や住宅などを紹介。学生たちに向けて、「私自身、学生時代は設計の授業でも卒業設計や修士設計でも何か賞を受賞したことはありませんでしたが、建築家と名乗れるまでになりました。今では設計者の深い糸が分かりますが、一方で学生時代は直感的に、ピュアな気持ちで建築を見ることができた記憶があります。ぜひ、素晴らしい建築にたくさん触れて、建築を好きになってください。社会に出て楽しい建築を設計する仲間になってくれることを期待しています」と語りかけました。

講演後には学生たちから、「ニセカイジュウタクは、2つの動線が交わるリビングをけんかした夫婦の仲直りの場所になるように設計されたというアイデアが面白いと感じました」といった感想が聞かれました。また、「建築の価値観が変わる作品に出合ったことはありますか?」という質問には、学生時代に十亀教授と出かけたヨーロッパ旅行や内藤廣氏の作品に感銘を受けたエピソードを披露していました。