諸橋亜桜さんと廣石万葉さんの詩作品が、詩誌「フラジャイル」に掲載されました

文芸創作学科3年次生の諸橋 亜桜さんと、文学部 日本文学科3年次生の廣石 万葉さんの詩が、詩の専門誌「フラジャイル」第20号に掲載されました。
諸橋さんは、岡和田晃先生の「文章と表現」や「詩をつくる/読む」、廣石さんは、「思春期文学とファンタジー」内での詩の講義を履修し、海外や日本の詩の歴史に触れて作品を講読したうえで、少しずつ、詩の実作に挑戦しました。期末レポートとして提出された作品を、岡和田先生が一定の水準以上だと判断し、詩の専門誌に持ち込んで掲載に至りました。

「フラジャイル」は2017年創刊の詩誌で、とても勢いがあり、同人たちもバラエティ豊かな作品を寄せているのが特徴です。また、毎号豪華なゲストや企画が目白押し。最新20号ではアフガニスタンの亡命詩人ソマイア?ラミシュさんによる詩「(銃弾が彼の心臓に狙いをつけたが)」「(詩を装填せよ、銃のように―)」(訳:木暮純訳、校訂:岡和田晃校訂)および評論「人生とは一つのメタファーである!ー村上春樹『海辺のカフカ』への眼差し」(訳:中村菜穂 、校訂?解説:岡和田晃)が、ひとつの目玉になっています。

フラジャイル表紙

諸橋さんは、「フラジャイル」16号に「都市~杉本徹 空中都市へ思いを馳せて~」、17号に「はるのあしおと」、そして今回の20号に「孤独」を寄せています。
「孤独」は、作品を書こうとしても書くことのできない煩悶をテーマにした作品ですが、それは二次元的な文字を形成する以前、一次元の「点」に留まるものでしかない。出口のない閉塞感を書き込みながら、自己を客観視する視点がきちんと担保されており、文体には強度がもたらされています。

諸橋さんの詩

廣石万葉さんの「月に触れる」は、無人駅のホームから月を剥がし、自らを解けさせるスケールの大きな作品です。講義で扱ったシュルレアリスム詩の技巧を軸に、ミクロとマクロ、一瞬と永遠、日常と宇宙の境界を解体させることに成功しています。

廣石さんの詩

最後に、岡和田先生からのコメントです。「作品が詩誌に掲載されるのは簡単ではなく、それ自体がひとつの達成です。けれども、書き続けていくことは輪をかけて難しいものです。今回の掲載が書き手当人の自信につながり、あるいは本サイトをご覧の皆さんに勇気を与え、自らの文学世界をいっそう持続的に拓いていく契機となるのを期待します」。

岡和田先生プロフィール