この夏休みの期間を利用して、8月28日から9月9日までの約2週間、サマーセッション(集中授業)であるヨーロッパ?アメリカ実地研修(文学部歴史学科西洋史専攻との共催)に参加しました。
今年度の訪問先はギリシアとトルコです。
アテネは、言うまでもなく西洋文明の源流であるギリシアの中心地でした。
アクロポリスの丘に残るパルテノン神殿は、アテネ民主政のシンボルとも言える建築物で、ドーリア様式の最高傑作であるとされています。かつては神殿の中に巨大なアテナ女神像が立っていたと言われています。
アクロポリスからはエーゲ海がすぐ近くに見えます。
実地研修に参加した学生たちは、この丘の上で古代ギリシアの歴史に直接触れるような経験をすることができました。
またペロポネソス半島にあるミケーネ遺跡も訪れました。
ミケーネは、エーゲ文明後半の紀元前1600年頃から1200年頃にかけて勢力を誇った青銅器文明で、
19世紀にドイツ人のシュリーマンが調査?発掘し、有名な「アガメムノンの黄金のマスク」を発見したことで知られています。
われわれはアテネの国立考古学博物館でそのマスクをこの目で見ることができました。
アテネから一泊で北にあるメテオラにも行きました。
中世の間、奇岩の上にいくつものキリスト教(ギリシア正教)の修道院が建てられました。
聖堂内部は美しいフレスコ画なども描かれていて深い信仰の世界に触れることができました。
しかしそれにしても、いったいどうやってこんな岩山の上に修道院を建てたんでしようか。
学生たちも驚いていました。
トルコのイスタンブールでは、巨大なアヤソフィア大聖堂(現在はモスク)や、
オスマントルコ帝国のトプカプ宮殿などを訪れました。
それらももちろん素晴らしい歴史遺産なのですが、
私が個人的に感動したのは、アヤソフィアのすぐ近くにある「地下宮殿」でした。
6世紀に東ローマ帝国皇帝ユスティニアヌスが建設したものです。
「宮殿」と言っても、実際は地下に広がる広大な貯水建築物です。
300本以上ある高い円柱が、まるで本当の宮殿のように立ち並び、
イスタンブールの地上の喧噪とは全く異なる、非常に静かで不思議な空間を作り上げています。
これを見るためだけでも、イスタンブールに来る価値があると思いました。
そしてこの「地下宮殿」を見学した後は、お昼においしいトルコのケバブを食べたことは言うまでもありません!
ヨーロッパ?アメリカ学科教授
中川久嗣