湘南キャンパスで10月4日に、フィンランド共和国の科学文化大臣を務めるサリ?ムルタラ氏による特別講義を実施しました。ムルタラ氏は、10月6日から8日にかけて国立京都国際会館で行われた「STSフォーラム」への出席などのために来日。本学が日本の高等教育機関として唯一文化社会学部北欧学科を擁し、フィンランド語、フィンランドの社会や文化を学ぶカリキュラムを体系的に設けていることから訪問先に選ばれました。
「フィンランドの科学文化政策の展望」をテーマにした特別講義には、文化社会学部や国際学部の学生、教職員ら約50名が出席。プロセーリング選手として世界選手権大会で3度チャンピオンに輝き、五輪にも3度出場した経歴を持つムルタラ氏は初めに、アスリートから政治家へと転身した自身のキャリアを振り返りました。続いて、フィンランド社会の特徴や価値観に触れ、「フィンランドではいつでも新しいことに挑戦でき、新しい目標を目指すことができます。生まれ育ちに関係なく、誰でもなりたい自分になれる考え方を大切に思っています」と話し、フィンランド語のことわざ“Moka on lahja”(失敗は贈り物である)を紹介しました。さらに、2040年代に向けたフィンランドの文化政策などのビジョンを話し、「文化とは、人々を結びつける力で、持続可能性のある未来をつくるために着想を与えるもので、あらゆる変革の重要な要素です。文化創造や創作の経済基盤が強くなればなるほど、社会にとっていいもの、いい結果をもたらすに違いありません。フィンランドでは文化を産業の一つとしてサポートしていきます」と語りました。
講演の終了後には北欧学科の小巻ひまりさん(4年次生)が花束を贈呈し、学長室部長の濱本和彦教授(情報理工学部)や小山晶子教授(国際学部)、文化社会学部の小林元裕学部長らとあいさつを交わしました。また、フィンランド語を履修する学生たちともフィンランド語で交流しました。
参加した学生からは、「文化と経済を結び付ける考え方がユニークだと思いました」「大学生活や就職活動などで、失敗を恐れずにさまざまなことにチャレンジしていきたい」と感想が寄せられました。北欧学科の柴山由理子准教授は、「科学文化大臣が訪問されたことは本学科にとっても貴重な機会になりました。特にフィンランド語を学ぶ学生たちには、語学勉強のモチベーションにもつながったのでは」と語りました。