文化社会学部北欧学科では6月18日に湘南キャンパスで、駐日デンマーク王国大使館次席公使のマヤソフィー?ブアゴー氏による講演会を行いました。本学科の開講する授業「北欧の思想とアイデンティティ」の一環で企画したもので、学生約80名が受講しました。
ブアゴー氏は大学を卒業後、グリーンランド政府での勤務を経てデンマーク外務省に入省し、昨年8月に次席公使として日本に着任しました。講演は、授業を担当する柴山由理子准教授が通訳し、事前に学生たちが寄せた質問にも答える形で進行。外交の役割や外交官の仕事を説明したブアゴー氏は、「最も大事なタスクは?」の問いに、「政府高官らの来日をサポートすることです。移動手段や食事といった日々のサポートだけでなく、先日は二国間の戦略的パートナーシップについての包括的な文書の作成にも携わり、互いの表現をすり合わせて落としどころを探るのは骨の折れる仕事でした」と説明しました。
続いて本授業のテーマである「アイデンティティ」について、「デンマークのアイデンティティは南の国境に面しているドイツから大きな影響を受けています。例えば、第二次世界大戦でドイツに占領された歴史を、デンマークは積極的に応戦しなかったから多くの命が救われたと見るのか、応戦するべきだったと見るのかで異なります。アイデンティティは地理的な事情や歴史、隣国との関係、哲学など、国の中から出てくるものでつくられています」と語りました。また、同国の自治領であるグリーンランドとフェロー諸島の人口や公用語、産業、教育、福祉などについても解説し、「1つの国とも言えますが、それぞれ異なる政治システムを持っています。近年、デンマーク政府主導でグリーンランドとフェロー諸島の自治権をより認めていこうという動きがあります」と語りました。
聴講した学生は、「自治領については過去に調べたことがありましたが、現地で働いていた人の生の声を聞けるのは貴重な経験。外交官としてさまざまな角度から幅広い意見を提示してくださって興味深かった」と話していました。