文芸創作学科3年次生の平澤幸芽さんが脚本を担当した演劇作品が上演されました

 文芸創作学科3年次生の平澤幸芽さんが脚本を担当した演劇作品「かけら」が、bet36体育投注_bet36体育官网app-在线*开户文化部連合会演劇研究会によって、6月29?30日の両日、湘南キャンパスコムスクエアの地下ホールで上演されました。
 舞台は25歳のフリーター男女4人が暮らすシェアハウス。4人はそれぞれの夢を追いかけて生きていますが、そこに高校生の男の子が加わることで、波乱が生じます。彼は「現実が見られていない大人なんてみっともない」と、夢を諦めざるを得ない状況下にある自分の心のモヤモヤを4人にぶつけます。5人は夢を断念して生きるか、なおも夢を追って生きるか、生き方の選択を迫られます……。
 劇中にこんなセリフがあります。「未来が見えないのは、先が真っ暗だからじゃない。明るすぎて眩しいくらいに光っているから、ここからは見えていないだけ」
 暗いから見えないのではなく、明るすぎて見えない。この常識の転覆に、今を生きる若者たちの「生きづらさ」が現われているような気がしました。
 舞台がはねた後、平澤さんはインタビューに応じ、こう語ってくれました。


 今回、演劇研究会において、2C夏公演(2Cとは2022年度入学の現3年次生のこと)「かけら」の脚本を担当致しました平澤です。会場に足を運んでいただいた方、また、そうでなくともこの記事内で興味を持っていただいた皆さんに心から感謝いたします。
 今回の脚本の主題は、「夢とどう向き合うか」です。高校生までの私は、夢は叶うか叶わないかの二択しか人生にはないのだと思っていました。0か100の極端な2択です。しかし、大人になった今、夢は叶わなくても大切に思い続けたり、別の方法で好きなことを続けたりすることもできるのだと、少しずつわかってきました。劇中に登場する5人のほとんどが、夢を叶えるのではなく、夢を別の形で大切に持ち続ける選択をします。夢を夢のままで終わらせないという人もいますが、私は、夢は夢のままで終わっても良いのかもしれないと思うことがあります。夢を大切にしたその経験がきっと、人生の中で大きな力を与えてくれると私は信じているからです。
 また、登場人物それぞれにいじめや虐待、恋人の死など、辛かった過去を持っています。表面的には明るい5人ですが、悲しい思いを抱えています。でも、だからこそ、5人は優しい人たちです。悲しみを経験した人は、強いです。人と優しく関わることのできる強さがあります。しかし、彼らはひとりで強くなったわけではありません。悲しい時に支えてくれた人がいたからこそ、彼らは笑っています。これが、観劇をしに来てくださった皆さんにどうしても伝えたかった想いです。悲しい時や辛い時にたったひとりで強くなる必要はありません。どうか、ひとりで抱え込まないで。未来は、真っ暗ではありません。明るすぎて眩しいほどに光っているだけです。だから、どうか、あなたに生きていてほしいです。
 最後に、この脚本は私ひとりでは書くことのできなかった物語です。辛い時や悲しい時に支えてくれたたくさんの人のおかげで書くことの出来た物語です。脚本を書くにあたって協力してくださったみなさん、今までの人生で関わってくださった皆さんに厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。