アジア学科開講授業の紹介:シリーズ1-タイトルから内容が分からない授業編①

〇アジア学科では、タイトルを見ただけでは内容がよく分からない授業を、複数開講しています。そうした「ナゾ」な授業を紹介するシリーズの第1弾は「アジア演習」になります。
〇「アジア演習」は春学期と秋学期、それぞれA、B、Cと番号が振られています。3名、総計6名の教員が担当し、演習型のユニークな授業を展開します。年度ごとに先生が入れ替わることもあり、常に更新を続けています。
〇今回、2022年春学期に担当された、ソウルご出身の李穂枝先生にお話しをうかがいました。

「授業では、このハン?ガンさんの『少年が来る』(井手俊作 訳:CUON、2016年)を、数名の学生たちと、自分の研究室で輪読しました。章ごとにみんなで分担し、その内容をまとめ、発表し、議論しましたよ…」

〇「すでに終わった授業なので…」と言いつつ、学生たちに最後に出した課題から、李先生はそっと一題を取り出して、私に見せてくれました。

「本のタイトル『少年が来る』について。このタイトルの意味は何でしょうか。少年はなぜ「来る」と思いますか。少年が来ることが、1~6章の登場人物だけでなく、私に、我々にどのような意味を持つと思いますか」

〇学生たちの答えを紹介する李先生の真摯な顔をまじまじと見つめつつ、「すみません、明日のお昼休みまででいいので、その本、お借りしていいですか」と、衝動的に尋ねました。「どうぞ」と沢山の付箋が貼られた本を李先生から手渡され、この課題に自分なりの答えを見つけたいと強く念じました。

〇現在、増刷待ちの『少年が来る』ですが、李先生の出された課題に、皆さんも、挑戦してみてはいかがでしょうか。李先生、ありがとうございました。

(2024年10月22日現在、本書は徐々に書店に並ぶようになっています)

(聞き手?文責:杉本浄)