広報メディア学科の学生が「『地方の時代』映像祭」の市民?学生?自治体部門で「優秀賞」を受賞しました

文化社会学部広報メディア学科の樋口喜昭教授の研究室に所属する学生チームが、「『地方の時代』映像祭」(主催=吹田市、関西大学、日本放送協会など)の市民?学生?自治体部門で「優秀賞」を受賞しました。「小さな民が歴史をつくる」のサブテーマで開かれた今回の映像祭には、全国の放送局や学生、自治体などから320作品がエントリーし、38作品が入賞作品に選出。11月9日に大阪府?関西大学千里山キャンパスで贈賞式が行われました。

優秀賞を受賞した鹿角日向さん(4年次生)、永井愛海さん(同)、前田悠伍さん(同)、笠原健寿さん(文化社会学部2023年度卒)のグループは、東日本大震災と高校演劇をテーマにしたドキュメンタリー「線を越えて」を制作しました。この作品は、青森県の公立高校教師で演劇部顧問、劇作家の畑澤聖悟氏が東日本大震災復興支援のために作成した「もしイタ~もし高校野球の女子マネージャーが青森の『イタコ』を呼んだら」を、2023年8月の常磐線舞台芸術祭で披露した青森県と福島県の高校生と、演劇を指導した畑澤氏に密着したもの。震災を経験した当事者と部外者の間にある線を越え、それぞれの立場から自分に何ができるかを考えながら演劇に取り組む人々の姿を、59分間の動画にまとめました。

前田さんは、「一年半をかけて制作した作品を評価してもらえてうれしいです。取材した高校生は東日本大震災当時4~5歳ほどの年齢で震災をはっきりと覚えていない人も多く、震災についての記憶を多くの人に伝えていかなければいけないと感じました」と話します。永井さんは、「映像の構成をはじめ、畑澤先生や高校生へのインタビューは抜粋する部分をこだわるなど工夫を重ねました」と語り、ナレーション台本を担当した鹿角さんは、「台本の内容はみんなで話し合って決めましたが、映像に合った適切な言葉の選択が非常に難しく感じました。また、“自分は大切な人を亡くしていないから当事者じゃない”という福島県の高校生の話を聞いて、私たちが無意識のうち、相手に当事者のレッテルを貼ってしまっていたことにも気づきました」と振り返りました。監督として卒業後も制作に携わった笠原さんは、「テレビや報道で携わるには、当事者意識を持つことが大事だとより強く感じるようになりました。現在、テレビ番組制作会社で技術業務を担う中でも、カメラに映る人や状況、自分自身とのつながりを考えています」と語ります。

指導した樋口教授は、「ゼミの学生たちには、取材や制作を通して自分で何か気づきを得て成長してほしいと思っています。多くの人が情報だけで知っている震災について、学生たちが実際に被災地にも足を運び、関係者に取材をして主体的にかかわることで考えや意見が変化し、成長していく姿が見られました。今回の学びを後輩たちに伝えて、学科全体の教育に貢献してもらいたいと思います」と期待を込めました。