本学科の青山七恵先生の新しい小説「はぐれんぼう」が、講談社から刊行されました。文芸誌「群像」に約2年がかりで連載された作品です。
ともかく不思議な小説です。
主人公は、クリーニング店で働く優子。引き取り手のない服「はぐれんぼうちゃん」を自宅に持ち帰ると、優子は服に身体を覆われてしまう──そこから物語が始まります。ささやかな日常の次元から、シュールで壮大な仕掛けへ、徐々に読者は引きずり込まれます。
日々、何気なく着ている服。でも、服にはそれを着る人の記憶や想いが滲みこんで、次に着る人にその記憶や想いを乗り移らせていくのかもしれません。服の怖さと凄さをしみじみ考えさせてくれる長編小説でもあります。
どうぞ、ご堪能ください。