湘南キャンパスで7月19日に、本学総合科学技術研究所と自動車用動力伝達技術研究組合(Transmission Research Association for Mobility Innovation=TRAMI)との共催で、「TRAMI第5回産学連携講座~摩擦(マッサツ)仕事人 華麗なる永遠の脇役」を開催しました。
TRAMIは、産学連携による自動車の効率よい駆動?電動技術の研究を加速させ、駆動技術によってカーボンニュートラルに貢献することを目指す組織として2018年4月に設立。トヨタ自動車や日産自動車、本田技研工業といった主要自動車会社?サプライヤー?一般財団法人の計12法人で構成されています。
当日はTechno Cube(19号館)のエントランス?ラウンジを会場に、オンラインでも配信。講座と展示?実演の2部構成で実施し、多くの企業関係者や学生が参加しました。第1部は「学から産へ」をテーマに、落合成行教授(工学部)が「摩擦の問題を抹殺!? トライボロジーの科学と技術」の演題で登壇。摩擦の科学である“トライボロジー”の語源と定義、古代文明における運搬技術から、長年取り組んでいる機械の摩擦を減らすための研究の概要を紹介しました。続いて山本建准教授(同)が「摩擦は悪者とは限らない!? 摩擦を使った機械」と題して、摩擦の有用性について解説。研究を進めている電動車用モーターの高回転化とトラクションドライブの可能性について成果を紹介しました。続いて、「産から学へ」をテーマに、SUBARUの藤沢脩哉氏が登壇し、「レースエンジニアが考える摩擦の力」と題して話しました。タイヤの摩擦と車両の連動や摩擦と駆動力との関係など、レースでの開発事例について解説。若手エンジニアとして学生に向けて、「さまざまな技術に興味を持ち、説得力を持たせるためにまずはやってみること。いつか必ず助けになるので仲間を作ってほしい」と伝えました。
参加者からは摩擦に関する技術開発について専門的な質問が出され、登壇者との間で活発なやりとりが交わされました。最後に総合科学技術研究所の岩森暁所長(工学部教授)が登壇。「本学は創立以来、民間企業と距離の近い研究に取り組んでいると自負しています。中でも本研究所は歴史が長く、近年は特にミクロとマクロの境界領域である“メソ領域”の研究に力を入れています。今後も企業の皆さんと多くのテーマで共同研究がすすめられることを期待しています」と話しました。
会場には「ブリヂストン?ワールド?ソーラー?チャレンジ2023」に出場した本学のソーラーカーや摩擦を活用した自動車部品も展示し、参加者は熱心に見入っていました。また第2部では、後方に設けられた会場で「産×学共同企画」としてスバル、ダイハツ、トヨタ各社の有志による自動運転ミニカーレースのデモンストレーションを実施。学生たちがチームに分かれて各社のエンジニアから指導を受け、特別なプログラミングにも挑戦しました。各社のエンジニアによるエキシビション走行も実施され、見事な走行に参加者から歓声が沸きました。学生からは、「憧れの自動車エンジニアと身近に話せて将来の夢が具体的になりました」「さらに勉強して自動車に関わる仕事につきたいと思いました」などの声が聞かれました。