大学院工学研究科の平鍋さんが応用物理学会でPoster Awardを受賞しました

大学院工学研究科電気電子工学専攻修士1年次生の平鍋頼さん(指導教員=工学部電気電子工学科?沖村邦雄教授)が、9月16日から20日まで新潟県?朱鷺メッセなどで開かれた「第85回応用物理学会秋季学術講演会」でPoster Award(ポスター賞)を受賞しました。本学会は、毎年春と秋に全国規模の学術講演会を開催しており、期間中は多岐にわたるテーマの講演会や研究発表が行われます。各賞の選出は11月中旬に発表され、ポスター賞は総講演数約800件の中から17名に贈られました。

平鍋さんは「薄膜?表面」の分科会で、自身が代表を務めるグループの研究「透明導電性AZOバッファ層を有するVO2/AZO/Polyimide積層構造の作製と光スイッチング性能評価」について発表しました。沖村研究室では、赤外線を自動調光できる窓「スマートウィンドウ」の開発に取り組んでおり、家屋や乗り物の内部が一定の温度を保つ技術の確立を目指しています。平鍋さんはスマートウィンドウに用いられている材料のVO2(二酸化バナジウム)に着目。電圧をコントロールすることで、これまでの研究事例より高速にVO2を絶縁体的性質から金属的性質に相転移させる技術を開発し、その手法や実証結果などをまとめました。自身初となる学会大会での受賞について、「歴史と伝統ある応用物理学会で受賞できたことを誇りに思います。指導してくださった沖村先生や共同研究者の仲間たち、貴重なアドバイスをしてくださった先輩方のおかげです。ポスター制作では、負けず嫌いな性格なので深夜まで何度もデータの見せ方や配色を工夫し、より効果的に伝わる方法を考えたことが結果に結びついたと思います。卒業生の中には春秋両方の学会大会で受賞した方もいるので、自分も今回の結果に満足することなくほかの学会大会でも入賞できるよう挑戦していきたい」とコメント。今回の研究では、工学研究科電気電子工学専攻修士1年次生の于鵬さんと工学部電気電子工学科4年次生の蘭田さん、渡部なごみさんも共同研究者として参画しており、「意見がぶつかり合いながらも、先生方のサポートを受けながら成果を出すことができました。一緒に研究する中で分析方法など多くのことを学ぶことができたので、今後の研究活動に生かしていきたい」と話しています。

指導にあたった沖村教授は、「今回の研究成果は、理論としてはある程度の想定がつくものの、技術を実現することが難しい領域でした。VO2は私も長年研究してきた材料ですが、平鍋さんは電圧の自動制御プログラミングを構築するなど、新しい角度から創意工夫し取り組んでくれたからこそ今回の成果につながったのだと思います」と評しました。