工学部原子力工学科の内田裕久教授がこのほど、ドイツ材料学会(DGM、旧ドイツ金属学会)の名誉会員に選ばれました。これは材料研究分野の発展に貢献し た研究者に1921年から贈られている名誉ある賞で、日本人ではこれまでに橋本宇一?元科学技術庁金属材料技術研究所長をはじめ4名が選ばれています。
内田教授は水素貯蔵材料や希土類系機能性材料が専門。本学卒業後、ドイツのマックス?プランク金属材料研究所の研究員として金属表面と水素の関係に関する 基礎研究に従事しました。1981年から本学教員に就任した後も、次世代の再生可能エネルギーとして期待されている水素を貯蔵できる水素吸蔵合金や、医療 機器などに幅広く用いられている超磁性材料の開発に携わる一方、経済産業省や愛媛県西条市とともに水素エネルギーの農水産業への応用を図る「クールアース プロジェクト」などにも取り組んでいます。そのほかにも、世界各国から最先端の研究に取り組む研究者が招待されるゴードンリサーチカンファレンスで2度講 演を行い、UNESCO国際産学官連携委員会の日本代表や南アフリカ政府水素燃料電池プロジェクトアドバイザーなどを歴任。現在は国際水素エネルギー協会 副会長や、公益財団法人松前国際友好財団理事長、株式会社ケイエスピー代表取締役社長を兼務しています。
内田教授は、「環境に配慮した社会作りが進む中、水素は二酸化炭素や有毒ガスを排出しない次世代のエネルギー源として燃料電池自動車やエネファームなど中 心に利用が広がってきています。ドイツではすでに水素吸蔵合金を使って水素を貯蔵するシステムの大規模な研究も進んでおり、日本でもこうした動きが活発 で、将来的には新たな雇用や産業の創出にもつながると期待されています。今後も学生の教育指導にも力を尽くし2019年に東京都で開催される世界水素技術 会議WHTC2015開催に向けて国内で展開されている最先端の水素研究の成果を発信すべく、行政や企業間の相互連携の輪を広げて水素エネルギーの社会普 及に向けて尽力したい」と話しています。