大学院総合理工学研究科総合理工学専攻博士課程4年次生の榛葉健汰さんが、12月9日にオンラインで開催された「Microphysiological Systems World Summit」で研究成果を発表しました。アメリカ?ジョンズ?ホプキンス大学動物実験代替法センターが中心となって開催した同サミットは、企業や研究機関、教育機関に所属する研究者が生体模倣システム「Microphysiological Systems:MPS」に関する研究成果を発表し、国際的な研究レベルの向上とともに社会貢献を目指しています。
榛葉さんは、「実用化に向けた操作性と送液性能を兼ね備えるMPSの構築」のテーマで発表。MPSは、生体内環境を模したマイクロ流体デバイスでさまざまな臓器の細胞を培養し、その機能を維持?向上させることがでることから、創薬研究の分野では動物実験の代替法として期待されています。一方、このシステムを利用するためには、細胞の栄養を含む培養液をMPSに送るためのポンプやチューブとの接続において熟練した技術や知識、経験が必要とされているため、榛葉さんは新しい手法を考案。従来の細胞培養プレートにポンプやマイクロ流路を内蔵し、これまでよりシンプルで扱いやすく改良してきました。今回の発表では、この手法で培養した小腸や肝臓、腎臓の細胞の評価結果を報告しました。
榛葉さんは、「世界を代表する優秀な研究者の方々も参加していたので、とても緊張しました。オンラインでの開催だったので、自分の英語がきちんと通じたのかどうか不安もありますが、とてもよい経験ができたと思います。準備期間はもちろん、日ごろから指導してくださる木村啓志准教授(工学部機械工学科、マイクロ?ナノ研究開発センター)に心から感謝しています」と話していました。