大学院工学研究科航空宇宙学専攻2年次生の永山生燿さん(指導教員:水書稔治教授)が、7月19日から21日まで沖縄県那覇市の沖縄産業支援センターで開催された「第52回可視化情報シンポジウム」(主催:可視化情報学会)の学生プレゼンテーションコンテストで、ベストプレゼンテーション賞を受賞しました。このシンポジウムは可視化をキーワードに、流体力学をはじめとする多様な研究分野の研究者が集う学術集会で、今回は400名を超える参加者がありました。
永山さんは水書教授の指導を受け、実験室で時間的に変化させない定常的な超音速の気流「不足膨張噴流」を用いて干渉縞を発生させ、精密に調整した光とレンズ、それに20㎝四方の「再帰反射シート」を組み合わせて計測しました。「再帰反射シートは大きな道路標識などにも使われているものです。これまでレンズや鏡を使った流体の計測や、再帰反射のメカニズムを活用した流体計測の事例はありましたが、その両者を組み合わせることは革新的で、しかも大規模に肉眼では見ることができない微細な流体の密度を計測することが可能となる〈再帰反射型光学系〉は画期的な実験系です。今回の受賞は、その有用性を証明した実験が評価されたと思います」と話します。
研究の今後について、「再帰反射型光学系により、実際に航空機の飛行による気流の変化を可視化することも可能になり、特に過密ダイヤの飛行場における安全運航の支障となる後方乱気流のメカニズムの解明など、大きな可能性があると思います」と期待を寄せる永山さん。「水書研究室には『できるかできないかではなく、やるかやらないか』というモットーがあります。私自身、先輩方の背中を見ながら自分の手を動かすことで身に着くものの大きさを実感してきました。今回の受賞は、先輩方から脈々と引き継がれてきた水書研究室の成果なので、よい知らせができてうれしく、自分も後輩にバトンをしっかり引き継いでいきたい」と話しています。