大学院工学研究科の除村さんが「コロイドおよび界面化学討論会」で優秀ポスター賞を受賞しました

大学院工学研究科応用理化学専攻1年次生の除村典子さん(指導教員=マイクロ?ナノ研究開発センター/工学部応用化学科:岡村陽介教授)が、9月17日から20日まで東北大学で開催された第75回コロイドおよび界面化学討論会(主催:日本化学会)で優秀ポスター賞を受賞しました。この学会は、「先端計測?解析が切り拓くコロイド?界面の新展開」をテーマに開催され、同賞は応募時に提出した要旨およびショートムービーによる1次審査通過者の中から、17日の発表?質疑応答に対する2次審査を経て特に優れた発表を行った者に授与されます。

除村さんの発表のテーマは「高分子微粒子を鋳型とした異形メソポーラスシリカ分散体の創製と芳香分子の徐放制御」です。肌に塗布するフレグランスなどの芳香成分を持続させることを目的に、人体の髪や皮膚、爪などを構成する必須ミネラルと同成分のシリカ(二酸化ケイ素)を用いて、空洞で細孔径が2~50ナノメートルの多孔質材料「メソポーラスシリカ」をシェル(殻)とする円盤型の「異形微粒子」を作成。優れた物質拡散性と輸送能力、高い吸着力をもつ「異形メソポーラスシリカ分散体」を創製し、芳香成分 を徐々に放出させ、持続させることを目指したものです。

除村さんは、「真球状で空洞のメソポーラスシリカは点接触で接着力が低いのですが、円盤系の異形にすることで面接触となり、高い吸着力を発現させることを目指しました。しかし、真球に比較して、異形は加熱して焼いて不要なものを飛ばすシリカコーティングが難しく、透過電子顕微鏡で観察しながら試行錯誤を繰り返しました」と困難な研究過程を振り返りました。発表については、「こうした苦労や研究の背景をきちんと説明し、どこに新規性があるのかを要領よく説明することを心がけました。発表のセッションでは大学や企業の研究者との対話をしながら将来的な研究の提案もいただき、大いに刺激を受けました」と話しました。

「まだ実験は途上で、今後はさらに芳香分子の除法制御について研究を深めたい」と除村さん。「研究と実験を通してひとつのことに時間をかけて取り組み、忍耐力や持続力が身に着きました。メソポーラスシリカの合成に関してご教授たまわった共同研究者の樋口昌史教授(工学部応用化学科)に感謝すると共に、将来はこの経験を生かし、研究系や技術系の仕事に携わりたいです」と今後の抱負を話しています。