総合科学技術研究所の千賀麻利子研究員が工学系の学術大会で研究成果を発表し、2つの賞を受賞しました

総合科学技術研究所の千賀麻利子研究員が、2023年12月2日に東京都で開催された日本機械学会エンジンシステム部門「第25回スターリングサイクルシンポジウム」で熱音響機関に関する研究成果を発表し、「ベストプレゼンテーション表彰」を受賞。24年9月9日に愛媛県で開催された同学会年次大会で贈賞式が行われました。また、24年11月18日、19日に東京都で開かれた、日本AEM学会「第33回 MAGDA コンファレンス~電磁現象及び電磁力に関するコンファレンス~」では、リニア発電機に関する基礎研究の成果を発表し、「優秀講演論文賞」を受賞。19日に表彰式が行われました。

「スターリングサイクルシンポジウム」の受賞テーマは、「蓄熱器位置に液面を有する二相熱音響エンジンの圧力振動計測」です。熱音響機関は、細い管の両側に温度差を設けることで発生する音響(音波振動)を用いて冷却や加熱、発電するシステムです。化石燃料の燃焼によって生じる廃熱(空気中に捨てられる熱)を回収して再利用するため、脱炭素社会の実現に資する技術として注目されています。千賀研究員は、液柱を利用した「相変化型熱音響機関」を開発し、圧力振幅を高めることに成功。より大きな動力が得られる可能性を持つ装置を構築しました。

「MAGDA コンファレンス」では、「動磁場解析を用いた10mm以下の片振幅で動作するリニア発電機の開発」と題した発表が評価されました。コイルの中の磁石を振動させて発電するリニア発電機は、熱音響機関による音波振動も利用できる発電装置として注目されていますが、構造が複雑かつ大型で高額です。千賀研究員は、リニア発電に関する研究の第一人者である信州大学の水野勉特任教授、佐藤光秀准教授と共に形状や構造を検討し、高い発電出力を持つ小型で安価なリニア発電機を設計しました。

千賀研究員は、本学大学院総合理工学研究科(博士課程)を修了後、総合科学技術研究所特任助教、石川県立大学生物資源環境学部食品科学科特別研究員を経て、現職で研究に取り組んでいます。学生時代の指導教員で共同研究者の長谷川真也教授(総合科学技術研究所、工学部機械工学科兼務)は、「熱音響機関はすでに冷却装置として実証実験を進めていますが、多くの企業から“発電機として使いたい”との希望が寄せられています。千賀研究員はリニア発電機という新たな分野の研究に挑み、企業の期待に応えるための一歩となる重要な成果を上げてくれました」と話します。

千賀研究員は、「今回表彰していただいた2つの成果から、廃熱を利用した熱音響機関とリニア発電機をつなげ、音波振動で高効率な発電が可能な装置を構築できる可能性が見えてきました。研究に協力してくださった先生方に感謝します。現在は、実際にリニア発電機を作製し、計算どおりの結果が得られるかの実験に取り掛かっています。さらに研究を進め、カーボンニュートラルの実現に貢献できる発電機を開発したい」と話しています。