大学院工学研究科修士1年次生の後藤宏弥さん(指導教員=工学部機械システム工学科?砂見雄太准教授)が、昨年9月に愛媛大学で開催された日本機械学会2024年度年次大会で若手優秀講演フェロー賞を受賞。3月3、4日に山口大学で開かれた日本機械学会情報?知能?精密機器部門講演会(IIP)で表彰式が行われ、賞状と盾が授与されました。同賞は同学会主催の講演会参加者の中から、研究内容の新規性が高く発表態度に優れた若手研究者に贈られるものです。

後藤さんは、紙やフィルムなどの薄膜に印刷やコーティングなどの加工を施した後に、再びロール状に巻き取り大量生産する「ウェブハンドリング技術(ロール?ツー?ロール)」の研究に取り組んでいます。今回は、ロールからロールへの搬送時に生じる波状の変形(トラフ)によって印刷ムラに折れしわができてしまう不具合に着目し、「FEM解析および実験による高分子フィルム搬送時のトラフの評価」と題してポスター発表しました。ウェブハンドリング技術の生産ではこれまで搬送時のシミュレーションが十分にされてこなかったことから、後藤さんは既存システムの応用が可能であるか実験。湘南キャンパス12号館にあるローラー機材を用いて搬送中のフィルムを2台のカメラで撮影し、トラフの高さを三次元構造で解析したほか、ローラーの配置をモデル化して接触解析などに用いられる有限要素法(FEM)を用いたシミュレーションでトラフの再現に成功しました。実際の生産時におけるデータと比較するとトラフの高さに誤差があったものの、変形形状は概ね一致していたことから、本シミュレーションの有用性を証明しました。
後藤さんは、「ウェブハンドリング技術の研究者は少なく研究事例も多くないため、世の中に必要とされる研究なのか不安になったこともありましたが、今回賞をいただけたことでその不安が払拭され、あらためてやりがいを感じました。また、シミュレーション結果を三次元構造にして視覚化できると、印刷所などの現場で働かれている方々にも理解してもらいやすいと思うので、今回の実験で出た課題の解決に修士論文で取り組み、生産技術の発展につなげていけたらと考えています」と語っています。