工学部応用化学科では、5月29日に静岡県御殿場市にあるキリンディスティラリー株式会社の富士御殿場蒸溜所で工場見学を行いました。本学科では1年次生 から化学実験を開講しており、3年次生の春学期までの間で有機物や無機物のさまざまな合成方法を教えるとともに、生産現場で使う用語や化学工業で欠かせな い流体輸送や熱交換、蒸留の技術を学ぶ「化学工学入門」を2年次生の秋学期に開き、産業界で活躍する技術者に必要な化学の知識や応用力を持った人材の育成 を目指しています。工場見学は実験科目の集大成である「応用化学実験3」の一環として毎年3年次生を対象に実施しているもので、今年も応用化学実験3を履 修している学生が参加しました。
工場では製造や品質管理についてのVTRを見たのち、案内役のスタッフのもとウィスキーの原酒生産から出荷工程までの生産ラインを見学しました。学生たち は、実験で習得した蒸留技術が生産現場で応用されている様子や、統一した品質を保つために行われる人の味覚や嗅覚による官能検査など、高いレベルで管理さ れていることを熱心に学びました。学生からは、「蒸留酒が生成される工程を知ることができただけでなく、品質管理の徹底ぶりに驚かされました」といった感 想が聞かれました。
引率した淺香隆教授は、「この工場見学は、技術が社会でどのように応用されているのかを知るとともに、これから就職活動を控えた3年次生の進路選択のサ ポートにもなるとの考えから毎年実施しています。普段口にしている食品の製造過程を化学者の目で見た経験を生かして、これまで学んできたことを整理し、化 学とどう向き合っていくのかを考えるきっかけにしてもらいたい」と話しています。