工学部生命化学科の良原栄策客員准教授が10月14日から16日まで、パシフィコ横浜で開催された「BioJapan2015」で研究成果を発表しました。このイベントは創薬や再生医療、環境、エネルギーなどについて最新の情報を共有するとともに、バイオ産業におけるオープンイノベーションの推進を目的に毎年開催されています。今年はおよそ30カ国から750件以上のブースなどの出展がありました。
良原客員准教授は、「多剤耐性グラム陰性菌のBAM複合体を標的とする低分子化合物の開発」をテーマにポスター展示し、14日にはプレゼンテーションも実施。多剤耐性菌に対し、抗菌作用のある新規低分子化合物について「多剤耐性菌の中でも特に問題となっている緑膿菌などのグラム耐性菌の外膜には、BAM(β-barrel assembly machinery)複合体が存在します。開発したこの低分子化合物は従来の抗生剤と異なり、この部分を標的とすることで効力を発揮します」と解説しました。
プレゼンテーション後、来場者からの質問に答えた良原客員准教授は、「医療関係者や製薬企業の方々から専門的な意見があり、研究の参考になりました。また、発表を通じて想像以上に多くの方が、この分野について興味?関心を持っているとわかりました。こうした機会を生かし、多剤耐性菌への対策が急務である実情を伝えていきたいですね。さらに、新たな発見や成果を世界中の研究者らと共有することで、少しでも問題解決につなげていければ。今後はさらにデータを蓄積し、より効果の高い低分子化合物の開発に尽力するとともに、実用化を目指した取り組みを続けていきます」と語りました。