応用化学科の淺香教授が日本病態栄養学会の一般演題座長賞を受賞しました

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工学部応用化学科の淺香隆教授がこのほど、日本病態栄養学会年次学術集会の一般演題座長賞を受賞しました。同賞は、1月28日から30日まで国立京都国際会館で開催された同学会年次学術集会における発表の中から特に優れた発表に贈られるものです。

淺香教授は「粘度可変型栄養剤の自己調製における液体栄養剤成分の化学的影響」と題して、病院の流動食などに用いられる液体栄養剤と凝固剤の化学反応に関する研究について発表。淺香教授は医工学科の菊川久夫教授らと共同で、粘度可変型栄養剤を作るために液体栄養剤と凝固剤の効果的な配合方法や液体栄養剤の人工胃液中の特性解明に向けた研究を進めており、これまでにさまざまなタンパク質のうち乳タンパクがpH1.2の人工胃液で固まること、流動食に含まれる乳タンパクが固まると、そこから分離した水分によって胃の中の水分量が増加し逆流性食道炎を誘発する恐れがあることなどを明らかにしてきました。さらに、乳タンパクが固まるメカニズムとともに、今回の学会では乳タンパクに結合しているカルシウムと凝固剤であるアルギン酸ナトリウムが反応することでとろみがついた状態となることを明らかにした成果について紹介しました。

「受賞は多くの方々の協力がなければ果たせなかったもので、なかでも研究室の学生たち、菊川先生をはじめとする共同研究者の方々には心から感謝をしています。臨床の栄養と化学は直接的なつながりはないと思う人もいるかもしれませんが、“なぜそういった現象が起きるのか”という純粋な疑問を追いかけ、解明するためには化学の研究者が役に立てる部分があります。他の分野でも同様で、化学以外の分野について知ることで化学への理解がさらに深まり、新たな課題が見つかると感じています。今後も化学の奥深さや探求の楽しさを学生たちに伝えていきたい」と話しています。