大学院工学研究科機械工学専攻2年次生の森山幸平さん(指導教員=工学部?岡永博夫教授)がこのほど、日本機械学会の「若手優秀講演フェロー賞」に内定しました。森山さんは、11月に同学会主催の「スポーツ工学?ヒューマンダイナミクス2022」で「ゴルフボールのディンプル占有率とディンプル体積比と底面形状が回転時の空力特性に与える影響」について発表し、その内容が高く評価されました。
高校時代にゴルフ部に所属していた森山さんは、「 “自分の好きなことを突き詰めたい”とこの研究を始めました。ゴルフクラブやボールには、競技で使う際に決められたルールがあり、ボールには直径や重さ、反発係数に制限が設けられています。一方で、揚力係数や抗力係数に制約はありません。メーカー各社が競って開発を進めているものの、企業秘密として公表されていない内容も多く、自分自身で突き詰めてみたかった」と話します。ゴルフボールには一般的に、「ディンプル」と呼ばれる凹凸加工がされており、ボール表面を占めるディンプルの割合(占有率)やボール全体と溝の体積の比率(総体積比)は、空力特性に深く関係しています。一方で、ディンプル底面の形状を曲面や円錐状にした際の飛距離や直進性への影響は明らかになっていません。そこで森山さんは、占有率や総体積比、底面形状が異なるさまざまなボールを用いて、風洞実験と飛翔軌道シミュレーションを重ねました。その結果、深さが同じディンプルでは、弾道や飛翔距離への影響は、総体積比よりも底面形状の変化に左右され、占有率と底面形状の組み合わせ次第で同じ飛翔距離でも弾道の高さを変えられると発表しました。
森山さんは、昨年6月にアメリカ?パドュー大学で開催された「ISEA Engineering of Sport 14 Conference(国際スポーツ工学学会大会)」でも成果を報告しており、「国内外で発表もでき、達成感を得られました。在学中はコロナ禍に見舞われ、研究室に通えない時期もありましたが、岡永先生には私の意志を尊重していただき、研究の過程や手法が自分で選択できたことで、やり切れました。一緒に研究に取り組んだ仲間にも感謝しています」と話しています。