江崎禎英客員教授による講義「健康長寿社会の実現―人生100年時代の健康?医療政策の在り方―」を実施しました

健康学部健康マネジメント学科では6月27日にオンラインで、社会政策課題研究所所長の江崎禎英客員教授による講義「健康長寿社会の実現―人生100年時代の健康?医療政策の在り方―」を行いました。本学科の必修科目である「健康学概論」の一環で実施したもので、1年次生ら約180名が聴講しました。

江崎客員教授は経済産業省や厚生労働省で医療?健康に関する政策策定などに携わった後、社会政策課題研究所を設立。現在は所長として故郷である岐阜県を拠点に、医療や健康、経済や金融、IT?エネルギーといった幅広い分野の知識や経験、ネットワークを生かしてさまざまな社会の課題を掘り下げ、より良い社会づくりのための政策の方向性などについて発信を続けています。

講義は、「bet36体育投注_bet36体育官网app-在线*开户から何を学ぶか」を考えることからスタート。江崎客員教授は、世界各国に比べて当初は死者数が少なく「奇跡」とさえ評されていた日本の高齢者が、外出を自粛するあまり体力が衰えてフレイル(虚弱)になり、結果的に多くが亡くなったというデータを紹介。「世界一の長寿国とされる日本が高齢化社会にどう向き合っていくか、世界中が注目しています。人間の生物学的な寿命は120歳とされています。世界的に千年に一度の大人口転換期の現在、高齢化社会や老後を“暗い”と考えるのではなく、視点を変えて『自分と社会のためだけに使える素晴らしい時間』と捉える必要があり、人生100年時代の社会保障の仕組みを作ることが求められています」と話しました。

さらに、入居者が支え合い趣味や仕事をしながら暮らす高齢者向け住宅の例を紹介。続けて「健康は最終目的ではなく、何かを実現するための条件であり、その結果。ただ生きるのではなく『生き切る』ことが大切で、健康でいようと頑張るのでなく、“おいしい?楽しい?ワクワク”を常に意識しながら生活することで免疫力が上がり、気づいたら健康になっている社会をつくることが理想です」と話しました。

また、「誰でも最後まで居場所と役割があることで、生き切ることができるようになります。人生120年とすると現役で活躍する15歳~64歳の一周目を健康で過ごすことができれば、その後には素敵な2周目がある。これは人間だけに与えられたもので、人生の本番はこの2周目かもしれません」と話しました。学生たちに向けて「高齢者を病人にしないコミュニティや医療?介護での予防?重症化予防プログラムを整備し、生涯現役社会の実現が当たり前になるような社会をつくることをこれからの皆さんのテーマにしてほしい。人が幸せになるための簡単で確実な方法は、誰かを幸せにすることです。それができ続ける限り、人は幸せでいられる。そういう社会をぜひ皆さんが実現させてください」と締め括りました。

終了後、学生からは「心豊かに暮らしていくために取り組んでいることは?」との質問があり、江崎客員教授は「故郷の大自然の中にある家に住み、畑を耕しながら仕事をするうちに、人生は一つでも家や仕事は複数、趣味はたくさんあった方がよいと考えるようになりました。さまざまな居場所に友がいて、一緒に食事をしたり話したりすることは人生を豊かにしてくれると思います」と話しました。

授業を担当する小林理教授は、「一見、暗く見えている現状をどのように捉え直すか、データの見方を含めて1年次生として大いに参考になったと思います。皆さんはこれから多くの授業を通して学びを深めていきますが、自分自身が楽しんでいくことで社会を変えることができる、というメッセージをいただいたと思います」と話しています。