健康学部健康マネジメント学科では、8月6日から10日まで「地域の高齢化や健康課題に挑戦するソーシャルベンチャー」のプロジェクトを実施しました。健康を多目的にとらえるために学生が地域のフィールドを訪れ、問題を発見して解決するにはどうしたらいいかを考察し、実践していく選択科目「フィールドワークA」の一環で行ったものです。本授業には5つのプロジェクトが設けられており、「ソーシャルベンチャー」は、神奈川県と、次代を担う起業家型リーダーを育成するNPO法人「ETIC.」とのコラボレーション企画で、高齢化の現状や健康課題に着目し改善策や解決策を提案することを目的としています。
初日は事前学習レクチャーとして、ETIC.の担当者や横浜市の職員らから「ソーシャルベンチャーとは何か」「横浜市の高齢化問題について」「地図から考える高齢者の暮らし」などの講義を受けました。2日目は横浜市中区の寿町と、西区?中区の横浜港に面した186ヘクタールの区域「横浜みなとみらい21」(MM地区)を調査。寿町では、横浜市の行政機関「横浜市寿福祉プラザ相談室」を訪問し、地域情報?広報?啓発?定期的な社会調査や相談統計などによる地域の現状分析で得た課題を聞いたほか、公益財団法人神奈川県労働福祉協会「寿労働センター無料職業紹介所」では日雇労働者やホームレスへの職業支援事業の現状について、MM地区では株式会社リスト横浜駅支店でマンションや戸建て住宅の分譲、タウン開発事業について説明を受けました。
3日目は3班に分かれ、A班は都築区にある高齢者の技を若い世代に継承することを目的に作られたものづくり多世代交流カフェ「いのちの木」や高齢者住宅「ボナージュ横浜」を訪問。B班は戸塚区の団地「県ドリームハイツ」や多世代交流サロン「いこいの家 夢みん」を訪れ、30数年にわたり生活に密着した課題を住民が力を合わせて解決しようと自助努力を続けてきた現状を調査し、C班は戸塚区にある特別養護老人ホーム「和みの園」で介護の仕事を体験したほか、同世代の新人介護士にもインタビューしました。
班内で2、3人のグループを組んでフィールドワークで得た課題の解決策を考え、最終日には訪問先のスタッフや市の職員らを招いて発表会を実施。学生からは、「高齢者住宅では男性が多く、女性に比べてコミュニティの輪が狭いように感じました。仕事が生きがいだった、社会貢献をしたいという男性が知識や経験を若者に伝える“男性の会”を開いてみてはどうでしょうか」「ドリームハイツは高齢化率が49%。一部を学生寮として開放し、家賃を安くする代わりに高齢者のサポートボランティアをしてもらう仕組みをつくるといいのでは」といった意見が上がりました。学生たちは、「フィールドワークの授業でなければ訪れることのなかった場所ばかり。実際に訪問することで高齢者や地域の現状を知ることができました。地域をよく知ったうえで、そこに合う解決策を考える大切さを学びました」と語っていました。