健康学部健康マネジメント学科では11月21日と28日の「環境と健康C」の授業で、第57次南極地域観測隊に調理隊員として参加した渡貫淳子氏による講義「南極の環境と観測隊の健康」を実施しました。この授業は、健康社会の創設に向けて人々を取り巻く環境が体に与える影響などを幅広く学ぶことを目的としており、今学期は57名の学生が履修しています。
21日の講義では、南極で日々行っていたストレスチェックの結果や、気温や白夜などの環境の変化によって体に起こる変化について解説。28日は南極での料理をテーマに語り、「30名の越冬隊員が1年間暮らすために、日本で非常食も含めて計40t約2000品目を購入するところから始まります。隊員は全国から集まっているので九州の甘い醤油など調味料もさまざまなものを持ち込みます」と説明しました。また、「1年間保存できた野菜はなんだと思いますか?」と学生たちに問いかけ、「答えはタマネギと長イモです。そのほかの野菜は傷んでしまいますが、それでもニンジンやダイコン、ハクサイは4カ月、キャベツは7カ月経ったものまで食べました。野菜がない生活は健康を害するのではなくメンタルに影響します。南極は白い雪と青い空、岩の茶色しかありませんから、緑が恋しくなりますし、野菜の食感がないと食べる楽しみも半減する」と話すと、学生から驚きの声が上がりました。
また「日本と一番違うのは排水に気を遣うところです。海を汚さないために汚水を浄化し処理をしますが、それには大変な労力を要します。少しでも環境に負荷をかけないためにカレーをドリアにしたり、うどんにしたり、水と具材を足してスープにするなど排水を汚さない、ごみを少なくする料理を心がけていました」と解説 。さらに、子どもの日には鯉のぼりを上げ、餅つきをして正月には鏡もちを飾り、氷山での流しそうめんを楽しむなど、季節の行事も大切にしていたと紹介しました。最後に調理隊員になった経緯に触れ、「”Noの理由よりYesの可能性を”というのが私の好きな言葉です。人と違うことをするのは大変で、ストレスも感じたけれど、やりきったあとにはゆるぎない自信が生まれました」と語り、学生たちにエールを送りました。
参加した学生は、「切りつめた食事ばかりなのかと思っていたので驚きました。さまざまな行事を取り入れていて、みんな楽しそうだった。限られた環境でも工夫次第で生活は豊かになるという言葉が印象的でした」と話していました。