森准教授が市内の学校職員や保護者向けの食育講座で講師を務めました

健康学部健康マネジメント学科の森真理准教授が、7月29日に秦野市教育委員会教育指導課主催の『早寝 早起き 朝ごはん推進事業オンライン食育セミナー』で講師を務めました。厚生労働省が推進している第4次国民健康づくり対策でも強調されている「次世代の健康の維持?増進」に焦点をあて、若い世代から1日3食(朝、昼、晩)摂取する健康な生活習慣を有すること、適正体重を維持すること、低出生体重児の割合を減らすことの重要さを伝えるために、『プレコンセプションケアに対応する食育』をテーマに設定。プレコンセプションケア(Preconception Care)とは、米国疾病管理予防センター(CDC)が2006年に提唱し、2012年には世界保健機関(WHO)が「妊娠前の女性とカップルに医学的?行動学的?社会的な保健介入を行うこと」と定義しています。日本では国立成育医療研究センターが、「プレコンセプションケア」(妊娠前ケア)とは、将来の妊娠を考えながら女性やカップルが自分たちの生活や健康に向き合うことと説明しています。そして、それらの概念と食育を繋げ、次世代を担う子どもたちへの食育指導の大切さを伝えるべく、市内の幼稚園、小学校、中学校の教職員および秦野市立北中学校の保護者らに説明しました。

近年、偏食や低栄養が原因で痩せている若い女性が増えており、低出生体重児(出生時の体重が2500g未満の新生児)の出生リスクが増加することで、次世代の健康リスクの増加が懸念されています。また、ダイエットによる低栄養が生理不順の原因となり、6カ月以上生理が起こらない状況が将来の妊娠出産のリスクにも繋がること、妊娠前からの喫煙(副流煙も含む)や飲酒、低栄養が子どもの健康状態にも影響するという産婦人科学会からの情報も共有しました。

森准教授は主に若い世代の低栄養予防や、バランスの良い食環境を整備するために科学的な根拠に基づく食育研究を実践しています。女子中高生への食育健診の取り組みでは、見た目は健康な生徒でも、血圧高めや、脂質異常症、血糖値高めが存在すること、同時に行った食事調査では菓子類の摂取過多、野菜や食物繊維が不足していることが確認でき、それらの栄養の偏りが生活習慣病のリスクを高めている可能性があると報告しました。女性の月経困難症、PMSといった月経関連疾患が増えていることにも触れ、「それらをケアするには、タンパク質、葉酸、鉄分?亜鉛などの栄養素が必要になります」と解説。さらに、若い世代の低栄養を防止するため、知らぬ間に健康になれる食環境を整備することも重要と、本学部の学生が湘南キャンパスの学生食堂と連携して栄養バランスの良いメニュー開発や、食品企業と共同で「若い世代の低栄養を予防するための健康的な補食の開発」をテーマに米ぬかを利用した無添加の玄米菓子「玄米グランビッツ」(株式会社合食)の開発にもかかわってきました。

今回の講演では、参加者からは、「将来の生活習慣病を予防するための食育の大切さを感じました。特に女性の月経や妊娠、出産には食事バランスが大きく影響するというお話が印象に残ったので、バランスのよい食事を摂取する大切さを児童に伝えていきます」「プレコンセプションケアという考え方を我々男性陣にもより周知する必要があると感じました。教育現場でも食育とより向き合う時間が確保できればいいと思います」といった感想が聞かれました。