情報通信学部では3月9日にオンラインで、FD研究会「これからのデータサイエンス教育~新しい数理教育に向けて~」(共催:工学部?理学部?情報理工学部)を開催しました。義務教育におけるプログラミング教育の必修化が進むなど、大学においても文系理系に関係なくデータサイエンス教育が必須になると考えられることから企画したもの。当日は各学部の教員ら100名以上が参加しました。
まず、東京大学数理?情報教育研究センター特任教授の藤原毅夫氏が「『教育数学』とプログラムの利用―新しい数理教育に向けて―」と題して基調講演を行い、理工系のみならず広い分野で「データサイエンスの素養が必要」という共通理解が進んでいる現状や応用数学や数値計算、統計学、情報技術、通信技術、機械学習データサイエンスの概要を説明。これらの基礎に数学があり、数学基礎教育が文系の専門教育の中でなかなか定着しない理由を解説するとともに東大の経済学部で数学の講義を導入した際に、エンジニアや科学者がデータの解析やアルゴリズムの開発、モデルの作成に使用しているプログラミングおよび数値計算プラットフォームである「MATLAB」を活用した事例を披露し、「紙と鉛筆では高次の数学を教えるのは難しいが、MATLABを使えば教えやすく、主体的な学びにつながっている」と語りました。
続いて事例紹介として工学部建築学科の岩田利枝教授が「建築環境工学分野の卒業論文における画像解析等の応用事例」、情報通信学部情報メディア学科の程島奈緒准教授が「音声?音響分野の授業におけるデータサイエンス教育の事例紹介」、教養学部芸術学科音楽学課程の沖野成紀教授が「音楽活動に伴う大脳皮質ヘモグロビン濃度変化をNIRSによって測定した結果を可視化する」、工学部電気電子工学科の佐川耕平助教が「『学生のアイデアを引き出す』~新入生からのスタートダッシュ」をテーマにそれぞれ発表しました。
最後に情報通信学部の濱本和彦学部長が、「事例紹介では学部の卒業研究をはじめ、教員の研究や学生活動、授業など多様な分野で取り組まれているプログラミング教育、データサイエンス教育の現状が語られました。その中で、従来の理数系の順序に寄らなくても学生が取り組んで結果を出していることが印象的であり、今後の学部教育のあり方を考える機会になりました。本学が22年度の実施を構想している大規模な改組改編では、その完成年度にあたる25年度の新入生が義務教育の課程でプログラミング教育を受けてくることも踏まえ、その年代への対応も考えていかなくてはなりません。さまざまなツールの活用を全学的に広めていく必要があると再認識しました」とまとめました。