情報通信学部組込みソフトウェア工学科の2年次生3人が、12月5日に品川シーズンテラスカンファレンスホールで開催された「第6回D2C(Device 2 Cloud)コンテスト」決勝大会に出場し、特別賞を受賞しました。出場したのは、板垣弦也さん、松田功作さん、冨山修平さんの3人からなるチーム「Devers(ディバース)」です。同コンテストは、「IoT(Internet of Things)」の時代を担うシステム提案や、デバイスやクラウドへつながる組込み機器の開発ができる人材の育成を目指して開催されています。「IoT」は、パソコンやスマートフォンなどの端末機器以外にも、組み込みシステムや各種センサーなどの機器が相互に情報をやりとりできるようになることで、新たなネットワーク社会の実現が期待されています。
コンテストは、まず予選としてビジネス構想までを見据えた開発構想書と、実際に開発?製作した端末やアプリケーションが動作している様子を収録した動画を提出。審査員がそれらの提出物について、性能やセキュリティ対策、独創性やビジネスとしての実現可能性、プレゼンテーションの完成度など多角的な視点で審査し、選ばれたチームが決勝に進む仕組みです。今回は多数の応募の中から、本学の「Devers」を含む8チームが決勝に進出しました。
「Devers」は、高齢者に多く見られる薬の飲み忘れを“ゼロ”にするためのクラウドと、処方薬自動排出デバイスによるマネジメントシステム 「Medication Manager」を提案。「授業での学びを生かしたものづくりに挑戦したかった」と出場の動機を振り返る代表の板垣弦矢さん。テーマを選ぶにあたり、家族や友人に「日常生活で困っていることは何か」とリサーチしました。そこで知り合いを通じて聞き出した課題が、高齢者の投薬の管理。実際に高齢者の飲み忘れによりどれくらい薬の無駄が出ているのかをデータなどから調べました。「今もこれからも多くの人に役立つ課題解決になる」と手ごたえを感じたメンバーは、あらかじめ1回に服用する薬を1包にまとめたものをセットすれば、服用時のたびに自動的に薬包が出てくる機器を開発。予選を通過し、決勝に臨みました。
コンテストでは、3人が力を合わせて日ごろの学びの成果を堂々とアピール。審査員から「今後の社会が抱える大きな問題点の解決に向けたテーマである」と高く評価されました。また、「実際のビジネスに向けてフィールド試験などで内容を具体化してほしい」とのコメントもあり、メンバーは引き続きこれらの課題に取り組んでいく予定です。「ものづくりはスムーズに進みましたが、プレゼンテーションツールをまとめるのに苦労しました」と板垣さん。「自信作だったのですが、実際に使ってもらってのフィードバックがなかったことなど課題が残りました。次回も挑戦し、優勝を目指したい」と、早くも次を見据えています。
学生たちの指導にあたった同学科の撫中達司教授は、「アイデアの立案から実際のものづくり、コンテストでのプレゼンテーションまで、すべて学生が主体となって進めてきました。発表後は審査員から多岐にわたる質問が寄せられ、実現に向けて関心の高さがうかがわれました」と評価。「これからの組込み機器は、外部とのネットワークに何が必要なのかなど、開発する際に開かれた機器としての視点が必要。論文だけではなくものづくりまで含めて発表し、企業の各担当者から直接、意見やアドバイスを聞くことができるこのような機会は、自分たちの取り組みの意味づけができる貴重な機会。社会に出てどのようなものづくりができるのか、考えるきっかけにしてほしいと思います」と話しています。