情報理工学部情報科学科の内田理教授の研究グループが、3月5、6日に神奈川県立相模原中等教育学校で、3月19日に神奈川県立平塚中等教育学校で、ICTを活用した防災教育ワークショップを実施しました。これは神奈川県の「平成28年度大学発?政策提案制度」に採択された提案に基づき、県と共同で実施している「ICT活用型防災教育プログラム作成事業」の一環として行ったものです。同事業は、ICT活用型若年層向け防災教育プログラム「かながわ防災教育プログラム2018(仮称)」の策定を目標としており、同グループが開発した災害情報共有アプリDITS(Disaster Information Tweeting System※)を使ったワークショプを県内の中学?高校で実施してきました。
相模原中等教育学校のワークショップでは、両日ともに、内田教授のほか、工学部土木工学科の梶田佳孝教授、基盤工学部電気電子情報工学科の村上祐治教授、現代教養センターの田島祥講師、情報通信学部通信ネットワーク工学科の宇津圭祐講師、さらに大学院工学研究科、工学部、情報理工学部の学生が参加しました。はじめに内田教授が、DITSのシステムについて解説し、昨年発生した九州豪雨で被害を受けた地域住民によるSNSへの投稿を紹介。「災害時は被災地から情報を発信することも大切という視点を持ってワークショップに臨んでください」と語りました。その後、中学3年生の生徒40名を8グループに分け、災害や防災の観点から校舎周辺を調査するために街歩きを実施しました。消火栓や一時避難場所を示す看板や防災用の備蓄倉庫、地震発生時に倒壊の恐れがある壁などをタブレット端末で撮影し、DITSを用いてTwitterに投稿していきました。校舎に戻った後は、投稿情報を地図上に表示するDIMS(Disaster Information Mapping System)で各班が投稿した情報を共有。生徒からは、「SNSに投稿する写真は、広範囲で撮影すると周囲の状況がわかりやすいことに気づきました」「情報を発信する際は、誤った情報を流さないよう注意を払わなければいけない」といった感想が聞かれました。
また、今回は別のクラスで村上教授が中心となって開発したT-Mapを用いた街歩きも実施しました。T-Mapは、地域の防災?被災情報を「危ない」「役に立つ」のアイコンもしくはフリーコメントを入力して地図上に登録し、地域の防災?被災状況を確認できるシステムです。生徒たちは校舎周辺を調査し、看板などの防災情報のほか、古いブロック塀や倒れかけている大木、消化器の設置場所を投稿しました。村上教授は、「防災の観点から、いいものと悪いものどちらも探し出すという取り組みを皆さんの自宅近くでも行ってみてください」と語りました。
DITS:Twitterに自動で災害地域の位置情報や救助要請を伝えるハッシュタグを付記して投稿できるシステム