経営学部観光ビジネス学科の小林寛子教授とゼミの学生が、8月22、23日に1泊2日で湘南キャンパスの学生を招いて「平成28年熊本地震」の被災地を巡る「被災地阿蘇スタディーツアー」を企画運営しました。以前から小林ゼミの研究テーマとして阿蘇の観光に取り組んでいたこともあり、ゼミ長の吉田慶さん(3年)は、「甚大な被害を受けた阿蘇の方たちの暮らしはもちろん、雄大な自然や人々の温かさなどいいところを伝えたい。離れた湘南キャンパスで学ぶ友人らを招き、復興についてともに考えるツアーを計画しました」と振り返ります。学生たちは春学期のゼミの時間などを使って準備を開始。被害状況や観光地の情報などを集め、何度も現地を訪れてインタビューしながらツアーの内容を練っていきました。
ツアーには「被災地の現状を自分の目で見てみたかった」と呼びかけに応じた湘南キャンパスの学生5人と、地震発生時にキャンパス間留学で湘南にいた熊本キャンパスの学生2人も参加しました。熊本キャンパスを出発した一行は、阿蘇五岳を一望できる「あそ望の郷」や水源に寄り、阿蘇の魅力を体験。阿蘇キャンパスでは、農学部卒業生で地震後すぐにキャンパスに駆けつけた木之内均教授(経営学部経営学科)と農学部生が案内しました。倒壊したアパートや崩落した阿蘇大橋なども見学し、「阿蘇大橋が落ちたときはものすごい音がした」「明日が来ないかもしれないと思ったのは初めて」という農学部の学生たちの話しを湘南キャンパスの学生たちは真剣な表情で聞き入っていました。その後、阿蘇神社門前町で阿蘇名物のあか牛を食したあと、復興に取り組む門前町の飲食店の店主や阿蘇神社の神主から話しを聞き、「阿蘇草原保全活動センター」で阿蘇の見どころの一つである草原についても学びました。その日の夜は、宿泊する内牧温泉のホテルの社長に営業再開までの話や収益を確保するための数々の戦略を聞き、翌日は黒川温泉の旅館の女将に風評被害の苦労や対策などを聞きました。温泉街を散策し、北外輪山から阿蘇の町並みを一望して熊本キャンパスへと戻り、全員でツアーの振り返りとまとめをしました。
湘南キャンパスから参加した学生は、「被害にあった方々が、何事にも前向きでプラス思考に考えていることに驚きました。たくさんの元気をもらい、多くのことを吸収できたツアーでした」「自分の目で見て聞いてみないとわからないことばかり。経験したことを周囲に伝えていかなければいけない」と話しました。運営にあたった観光ビジネス学科の学生は、「現地に足を運んで地震を経験した人たちの声を聞くことがいかに大切かを感じました」「ツアーを企画していなければ私自身も熊本地震は過去のことだと思って暮らしていたと思います。さまざまな視点から地震について考えることができてよかったです」と振り返りました。小林教授は、「ツアーを通してたくさんの”熊本の宝”を見つけられたと思います。復興に向けてゼミでもさらに話し合いを重ねていきたい」と語りました。今後は報告書をまとめ、12月に東京都内で開かれるエコツーリズムシンポジウムで成果を報告する予定です。