2023年5月27、28日に、日本考古学協会第89回総会がbet36体育投注_bet36体育官网app-在线*开户湘南キャンパスにて開催されました。同大会の開催にあたっては、文学部歴史学科考古学専攻の教員が中心となり、本学静岡キャンパス人文学部の考古学教員、本学考古学専攻の卒業生らも参加した実行委員会が準備してきました。また大会当日には、考古学専攻の在学生も様々な業務を担当し、大会運営を支援してくれました。
初日の午後には、公開記念講演が2号館大ホールにて行われました。講演では、本学考古学専攻の教授である北條芳隆先生と松本建速先生にご登壇いただきました。北條先生は古墳時代の専門家として数々の業績を残されていますが、最近では、太陽や月の運行と古代遺跡との関係を熱心に探求されており、「考古天文学」という日本ではまだなじみのない領域の開拓とその普及にいそしんでおられます。これまでの成果は『古墳の方位と太陽』(同成社)にまとめられていますが、今回の講演では、吉野ケ里遺跡などの遺跡で発見された遺構の軸線と太陽や月の運行との関係に焦点をあてた新たな研究成果が次々に披露されました。2人目の講演者である松本先生は、古代の移住や話されていた言葉の問題を探求してきました。特に、古代のエミシの問題に取り組んでおり、『蝦夷の考古学』『つくられたエミシ』(同成社)などの著作で、エミシの存在そのものに疑問を投げかけてきました。本講演でも、考古学的な証拠や文献資料を用いながら、エミシの存在を批判的に検討し、古代東北で何が起きていたのかを推察しました。お二人の講演に共通していたのは、現在進行形の研究内容と今後の研究の展望でした。長い研究者人生の総括的なお話ではなく、今後の目標を語る両講演者の姿勢がつよく印象に残りました。
2日目には、会場を14号館に移して、全7会場にて、個人やセッション企画による口頭での研究発表が行われました。さらに、14号館地階ホールでは、ポスター掲示による研究発表(ポスターセッション)が行われました。ポスターセッションには、高校生の部門もあり、計10校から先生や高校生が参加してくれました。高校生参加者による交流会も開催されました。
第89回総会は、日本考古学協会としてははじめての対面?オンライン併用のハイブリッド型学会となりました。私たち実行委員会側としてもハイブリッド型の運営ははじめての経験で、何か月も試行錯誤を繰り返してきました。当日は、いくつかのトラブルはあったものの、大過なく無事に大会をおえることができました。運営の中心となった実行委員会メンバーと考古学専攻学生諸君の連携はもとより、日本考古学協会事務局?理事の皆様、本学情報担当職員の皆様のご協力、そして、HSCO職員の皆様の常日頃のご支援に対して、こころより感謝申し上げます。
日本考古学協会第89回総会?実行委員会事務局長
文学部歴史学科考古学専攻教授 有村 誠