2024年6月27日、加藤頌太氏(外務省北米局日米地位協定室?NPO法人ナタデココ代表)を講師にお迎えし、「外交と地域活動から学ぶ、共生社会の構築への道」と題して、文学部知のコスモス講演会を開催しました。本講演会は山本志都教授が企画し、司会も務めました。
加藤氏は講演の前半で、幼少期からの異文化との出会いがどのように外交官としてのキャリアに結びついたかをお話しされました。三重県の小さな島で育ち、外国人と接する機会がほとんどなかった幼少期、フィリピン人の先生やアメリカからのALTとの出会いをきっかけに、異文化への興味が芽生えました。高校時代にはアルバイトで貯めたお金で初めて一人でアメリカを訪れ、語学の壁に苦しみながらも、地図帳で見た景色が実際に存在することに感動し、異文化への関心はさらに深まりました。大学時代には、アルバイトのお金が貯まるたび、バックパッカーとして世界各国へ出かけました。ラオスではお金が尽きたため、大道芸を披露してわずかなお金を得ることで難局をしのいだそうです。
言葉以外の方法でも現地の人々と交流できることを確信し、異文化理解が深まるとともに、日本人としてのアイデンティティを再確認したことが、外交官を志すきっかけとなったそうです。講演を聞いた学生たちは、外交官という職業が異文化体験の延長線上にある仕事であることを理解し、親近感を抱いたようです。
加藤氏は、自由貿易協定(FTA/EPA)交渉などを担当した経験から、「誰かの利益が他の誰かの不利益になる世界」では「軸となる想いが求められる」と話されました。外交とは、人と人との間で感情を持って調整されるものであり、そこにその難しさと同時に興味深さがあることに気づかされました。
後半では、加藤氏が代表を務めるNPO法人ナタデココの活動について紹介されました。このNPOは、子どもたちが言葉の壁を気にせずに、地域に住む外国籍の人々と交流できるプログラムを提供しています。特に、英語教職を志す学生たちは、加藤氏の話に熱心に耳を傾け、今後の活動に役立てようとする姿が見られました。