文学部アジア文明学科では、12月15日に湘南キャンパスで第296回知のコスモス講演会「庶民派大統領の誕生 ―ジョコ?ウィドドとインドネシアの民主化―」を開催しました。本学科の内藤耕教授が講師を務め、学生や教職員ら約50名が受講しました。
内藤教授は、インドネシア共和国の概要や2014年に大統領に就任したジョコ?ウィドド氏の生い立ち、政治思想、選挙戦、インドネシア政治の構造などにつ いて要点を整理しながら説明。旧来のインドネシアの因習を破り、新たな社会を作るという公約を打ち出してスタートしたジョコ?ウィドド政権について、「政 治的に安泰とは言えず、国の中にさまざまな不安要因を抱えたままの船出となっているため、今後も順風満帆な政権運営とは言いづらい」と解説しました。ま た、最大の不安要因はインドネシア政治の構図そのものにあると指摘し、「インドネシアはイスラム教徒が9割を占めるイスラムマジョリティー国家ですが、イ スラム系にも伝統派と改革派が存在していますし、民主化を支持する声と、政党が支持者をマシーンのように動かしていく『マシーン政治』の間には軋轢があり ます。成長著しい新中間層の利害と政治意識、中央の政治と地方の政治とのギャップ、くわえて実態の見えないマフィアの存在が、今後のジョコ?ウィドド政権 の盛衰を占うカギになる」と語りました。