課程資格教育センターでは5月12日に湘南キャンパスで、「ようこそ☆先輩!! 公開連続講座」の第1回を実施しました。この講座は、本センターが彫刻の 森美術館(神奈川県箱根町)と連携して行っているインターンシッププログラム「キュレーターの”たまご”プロジェクト」の一環として開催しているもので す。今年度は博物館や文化財の分野で活躍している本学の卒業生が、「モノを守り、伝えるコトとは?」をテーマに文化財の保存と活用に携わる人々の仕事を解 説します。初回は、国立民族学博物館の日髙真吾准教授が「文化財レスキューとは何か-レスキュー活動を通して考えたこと-」と題して講演し、学部生や大学 院生、教職員など約170名が聴講しました。
日髙氏は1994年3月に本学文学部史学科日本史専攻(現?歴史学科日本史専攻)を卒業。同年に開催された第70回箱根駅伝では主将として10区を走り、 総合5位入賞の成績を残しました。2006年には本学大学院で博士(文学)を取得し、現在は博物館における資料保存学をテーマに研究活動を続けています。 この日は、2011年の夏に文化財レスキュー隊の作業責任者として東日本大震災で被災した宮城県や岩手県で活動した経験を、映像を交えて解説。海水や泥を かぶった文化財の掘り起こしや運搬保管、補修過程のほか、がれきや粉じん、暑さなどによる厳しい環境下で、作業員の安全確保や業務の優先順位などさまざま な判断を迫られる緊張の現場を紹介しながら、レスキュー活動の位置づけや意義などについて解説しました。
現地では「被災者の生活もままならない段階で、文化財のレスキューが必要なのか」という声もあったといいます。日髙氏はメディアの取材を受けて、「この活 動で救出した文化財が、昔を語り継ぎ、被災者が次へと進むための”道しるべ”になると信じたい」とコメントし、現地の人々の伝統文化を守ろうとする思いに 支えられてレスキュー活動を続けたエピソードを紹介。「文化財が地域の人々にとってかけがえのない存在であることを理解してもらうよう、日ごろから人々に 働きかけていくことが博物館学芸員の大切な役割です」と語りました。最後に、”博物館で働きたい”という志と”箱根駅伝に出場する”という目的を貫いた学 生時代を振り返り、「bet36体育投注_bet36体育官网app-在线*开户は学生に対して真摯に積極的にかかわってくれる大学です。ここで学んだことをとても誇りに思っています。みなさんも将来を見 据えて、豊かな学生生活を送ってください」と学生にエールを送りました。
参加した学生は、「被災地という過酷な現場で、常に文化財保護の目的を見失わずに適切で迅速な対応をし続けたという話に感銘を受けました」「文化財を保護 することの意義をあらためて考える機会になりました。日髙さんの姿勢は、学芸員を目指している自分にとっての道しるべになったと思います」などと感想を 語っていました。
尚、来月6月28日には昨年の連続公開講座第一弾の続編として「『ユニバーサル?ミュージアム』の未来を語る ~だれもが楽しめる博物館を目指して」と題する公開シンポジウムを予定しています。