文学部心理?社会学科の近藤卓教授が3月16日、代々木キャンパスで開催された日本いのちの教育学会「第15回研究大会」で講演しました。当日は”102 歳の現役医師”として知られる聖路加国際病院の日野原重明理事長も登壇。子どもや教育問題に携わる関係者ら約85名が参加しました。
日本いのちの教育学会は、「いのち」にかかわる教育における人々の知恵と経験を共有し、互いに学び合う場とすることを目的に活動している団体です。研究大 会ではまず、近藤教授が会長講演として登壇し、「自尊感情といのちの教育」をテーマに講演。自尊感情には尊大に構える「社会的自尊感情」と、自らの品位を 保つ「基本的自尊感情」の2つの意味があり、後者の感情を育むことがいのちの教育につながることを説明しました。そして、「大人と子どもが共有体験を通し ていのちの尊さを伝え合う、確認し合うことが必要です」と述べました。続いて日野原理事長が「子どもといのちの教育」と題して講演しました。日野原理事長 は老人の新しい生き方を追求する活動として「新老人の会」を結成し、小学校で「いのちの授業」を行っていることを紹介。「この授業で伝えたいことはいのち の大切さ、そして一番に願うのは平和についての正しい考えです。子どもたちに平和と愛を教え続けていくことが新老人の会の使命の一つだと考えています」と 語りました。
午後の研究発表では、本学大学院文学研究科コミュニケーション学科の阿部眞理子さん(2年次生)が「大学生対象のいのちの教育の実践」をテーマに発表。教 育の現場で阿部さんが指導した「生命と性の教育」の授業における学生たちのグループワーク実践結果を報告しました。また、近藤教授をコーディネーターにし たシンポジウムでは、大学教員や小学校教諭、宗教家など4名のシンポジストが登壇。それぞれの現場での実例を挙げ、教育の課題や展望などを討議しました。 さらにシンポジウム後半では、本学医療技術短期大学の淵田明子准教授が看護教育における「いのちの授業」紹介。「生死の現場で働く看護師を目指す学生に とって、生命の倫理を学ぶことは看護の基本。それが患者さんへのいのちの教育にもつながっていくはずです」と述べました。
当日は本学の学生13名が、ボランティアとして学会の運営をサポート。学生たちは、「心理?社会学を学び始めたばかりの1年生なので学びが未熟な分、難し い内容の研究会でしたが実のある経験になったと思います」「いろいろな先生方の多様な意見を聞けて、視野が広がりました。著名な日野原先生のお話を聞けた ことも収穫です」と語っていました。