被災地の保育所で北欧学科の学生10名が読み聞かせボランティアを実施しました

北欧学科の学生が9月2日に宮城県東松島市の赤井南保育所で、読み聞かせのボランティアを実施しました。参加した学生10名は、北欧の絵本を翻訳して幼稚 園や図書館で読み聞かせなどを行う学生サークル「FINDS」の有志です。「FINDS」では2名の学生が東日本大震災で被災していることから、「自分た ちにできることはないか」「震災に自分たちはどうかかわったらよいのか」と議論を重ね、「普段行っている活動を生かして被災地の子どもたちを笑顔にした い」と、読み聞かせのボランティアを独自で実施することに決めました。

学生らは現地のボランティアセンターなどに問い合わせをしましたが、なかなか調整が進みませんでした。そんな中、6月にデンマーク皇太子が東松島市を訪れ たことを知り、「北欧(学科)とのつながりを感じる地でボランティアをしたらどうか」との意見をまとめてデンマーク大使館に相談したところ、大使館関係者 から東松島市を紹介いただけることに。その後、リーダーの斉藤準さん(3年次生)が同市の赤井南保育所の山口千寿子所長に電話をかけて思いを伝えたとこ ろ、「離れた場所に住む若い人たちが被災地を気にかけてくれたことがうれしい」と訪問を快諾してくれました。8月から準備に取りかかり、交通手段の確保や 宿泊手配などを学生たちが手分けして担当。また、読み聞かせを真剣に学ぼうとプロを招いた勉強会も実施し、「絵本は読み方ひとつで変わる」「絵を見せるだ けではなく物語の内容をしっかり伝えることが大切」とアドバイスを受けながら、聴き手の立場に立った読み聞かせができるように練習を重ねました。

1日に湘南キャンパスを出発した学生らは仙台市内に宿泊した後、翌2日に現地入り。同保育所では、0歳から6歳までの児童約80名を年齢別に3つのグルー プに分けて、「ムーミンシリーズ」「3匹のヤギのガラガラドン」など北欧の絵本を中心にした読み聞かせを行いました。子どもたちは真剣なまなざしで絵本を 見つめながら、静かに物語に耳を傾けていました。読み聞かせの後にも一緒に遊び、保育所には子どもたちの元気な声が響きました。

リーダーの斉藤さんは「仙台市の道路には大きな亀裂が入っていたり、保育所の床が押し寄せた水で変色していたりして、大震災の爪痕を目の当たりにしまし た。けれど、子どもたちは元気いっぱいで、読み聞かせにも一生懸命に耳を傾けてくれてうれしかった。震災の記憶を心に留め、復興の一翼を担っていかなけれ ばという思いを強くしました。赤井南保育所からはまた来てほしいという要望をいただいたので、次の活動についても準備を進めていきたい」と語っています。 同行したFINDS顧問の池上佳助准教授(北欧学科)は、「園児たちがデンマーク語であいさつをしてくれたのには驚き、北欧とのつながりを感じる被災地で 活動ができたことをうれしく思います。学生にとっても貴重な経験になったと思います」と述べています。

会場の様子