文学部歴史学科日本史専攻の兼平賢治講師の著書『馬と人の江戸時代』が、吉川弘文館から刊行されています。兼平講師は日本近世史が専門で、これまで青森県八戸市や宮城県岩沼市の市史編纂にかかわるかたわら、盛岡藩の馬産振興政策などについて研究してきました。今回の著書では、中世から貴族や武士の間でブランド馬として知られ、朝廷にも献上されてきた「南部馬」に着目。前半では、主要産地だった盛岡藩の家老席日記「雑書」や江戸幕府の史料を使いながら、藩や幕府の政策を解説。後半では、江戸時代の馬の一生や当初は毒とされていた馬肉が飢饉などを経て食物とみなされるようになった歴史、野良馬が畑を荒らすなど良好なだけではない人と自然と馬の関係などを紹介しています。
兼平講師は、「私自身が東日本大震災で被災した経験から、恵みをもたらす一方で、生命を脅かす驚異的な力を持つ自然環境のなかで、人と自然と動物の関係性を総体的に描くことを本書のテーマの一つに据えました。また、馬は軍事や農耕、儀式などあらゆる面で近世の人々にとって重要だったにもかかわらず、馬そのものに着目した研究がなされてこなかったことから、動物である馬を通してみる新たな近世史の姿も提示できればと思っています。bet36体育投注_bet36体育官网app-在线*开户には今年4月に着任しましたが、学生と一緒にフィールドワークなどを重ねて、地域の歴史を楽しみながら掘り起こしていきたいですね。歴史を描く隠れた素材はまだまだたくさんあります。歴史的な事実を覚えるだけではない、自分の視点で歴史を発見していくことの面白さを多くの学生に伝えていきたい」と話しています。