文学部歴史学科考古学専攻では8月27日から9月8日まで、青森県六ヶ所村で「六ヶ所村金堀沢遺跡発掘調査」を実施しました。同専攻の必修科目である考古学実習を兼ね、昨年から本専攻の松本建速教授が中心となり取り組んでいるもの。調査には、秋田かな子准教授と宮原俊一講師、3年生3名、2年生19名と卒業生、大学院生も加わり、総勢27名が参加しました。
今回の調査では、前回実施した遺跡全体の測量調査に基づいて、8m四方、深さ1.3mの竪穴式住居跡と思われるエリアを発掘しました。学生らはまず、発掘道具などを運搬できるよう倒木を片付けるなどして、遺跡までのアクセス路を確保。現場では降り積もった落ち葉をきれいに取り除くことから取り掛かり、土の堆積状況を調べるために中央に十字形のセクションベルトを設定し、丁寧に掘り進めました。
期間中は、須恵器や土師器などの土器のほかに、鉄器を造る際に送風用に使うフイゴから炉に向けられた「羽口」という道具も掘り出されました。粘土を固めて乾燥させただけのものですが、高温で熱せられた木炭の灰が釉薬のような効果をもたらし、先端部が陶器のように黒光りしており、掘り当てた3年生はとても驚き、感動していました。調査は遺跡の崩れやすい部分を来年に持ち越し、掘り出した土を詰めた600もの土嚢で遺跡全体をおおい、終了しました。
初めて本格的な発掘調査に臨む学生たちに向けて、「我々が掘り進め、取り去る土は千年以上かかってそこに堆積したもの。なぜこの土がここにあるのかを常に考え、慈しむように掘ってほしいと伝えました」と松本教授。「古代の人々の生活を想像するためには、人間とはどういう存在なのかを常に考えることが大切。そのためにも好奇心を持ち、さまざまな分野の学問を貪欲に学んでほしいですね」と話しています。