駿河湾に生息する海棲哺乳類の研究を進めています

海洋学部海洋生物学科の大泉宏准教授が、駿河湾内に多様なイルカやクジラなどの海棲哺乳類が生息していることを長期にわたる駿河湾内の船上観察調査で突き 止めました。大泉准教授は学生らとともに2009年から船上観察調査を開始。これまでに24回の調査で延べ7種類29回、イルカやクジラの群れを見つけま した。14年7月からは、清水港と土肥港を結ぶ駿河湾フェリーからの船上観察も始めています。

大泉准教授らは、イルカやクジラの群れが頻繁に見つかる地点があることも発見。コビレゴンドウとハンドウイルカ(バンドウイルカ)が混じった群れでは計 110頭が観察できたこともありました。また、普通は水深500m~1000mまで潜水してなかなか水面に姿を見せないアカボウクジラという珍しい種類も 延べ17回観察しました。大泉准教授らの調査で観察できたのは、ほとんどが外洋で暮らす種類で、駿河湾のように比較的狭い範囲で船舶の往来が激しく、沿岸 の開発が進んだ地域で外洋種が頻繁に観察されるのはたいへん珍しいこととされます。

大泉准教授は、「駿河湾は太平洋側に大きく開いており、クジラやイルカが外洋から入りやすい。湾の中央には南北に水深2000mをこえる海溝状のくぼ地 “駿河トラフ”があり、エサが得られやすいことなどが影響しているのではないか」と推察。海底が岩と泥でできている駿河トラフ東側に沿って多くの群れが観 察されたことから、「栄養豊富な深層水が表層へ湧き上がり、エサが豊富にいる可能性も考えられることから、海底の環境がエサの分布に影響していると考えら れる。今後は観察しているのが同じ個体なのか、ひれの形や傷などから検証してみたい」と話しています。

駿河湾に生息する海棲哺乳類の研究を進めています